ビジネスパーソンの間で「朝活」が流行っているらしい。朝活とは、早起きして始業前の時間帯を有効活用しようというもの。朝は電話もかかってこないし、集中して仕事をするのに適しているのだそう。
これは筆者のような文筆業にもうなずけるところがあって、夜を徹して作業するよりも、早起きして早朝にパソコンに向かった方が、仕事が早く終わる気がする。実際、夜より朝の方が脳の働きは優れているのだろうか? オスロ大学・認知機能研究センターの末神翔先生に聞いてみた。
「たしかに、人間のパフォーマンスが時間帯によって変化することは、これまでに多くの研究から明らかにされています。しかし、“朝だから仕事がはかどる”と単純に決め付けることはできません」
末神先生によれば、脳の働きにも個人差があるそうで、何でもかんでも朝方生活を目指せばいいというものでもないらしい。
「たとえばアメリカで行われた大学生を対象とした実験では、語彙力や集中力を必要とする課題は、昼間(正午~14時)や夕方(18~20時)の方が、朝方(8~10時)よりも好成績であることが報告されました。また、別の研究では、複雑で柔軟な思考を必要とする課題については生活習慣の影響を受けやすく、いわゆる朝型の人は朝、夜型の人は夜の方が成績が良いことが示されています。つまり、人が最も優れたパフォーマンスを発揮する時間帯は、実行する課題の内容や、年齢など個人の特性によって変わってくるのです」
ということは、闇雲に早起きして朝活に挑むのではなく、朝には朝に向いた作業にあてるのが吉なわけだ。
「また、日頃どれだけ不規則な生活を送っていても、人間のパフォーマンスは概日リズムと呼ばれる約24時間周期のリズムに影響を受けることも示されています」
つまり、まずは規則正しい生活を送ることが大切。日々の生活サイクルがばらばらでは、効率アップは見込めないのだ。
http://news.goo.ne.jp/article/r25/life/r25-20121119-00026889.html