「超広域災害」となった東日本大震災を教訓に、遠方の自治体と災害時の相互応援協定を結ぶ動きが県西部で広がっている。小規模な自治体が多い上、近隣の自治体同士では同時に被災し、結果的に支援が受けられなくなる危険性が高いためで、さまざまな縁を通じて協力関係を築こうと各市町は知恵を絞っている。
秦野市は8月15日、長野県諏訪市、静岡県伊東市、長崎県壱岐市の3市と、大規模災害が発生した場合に必要な物資や資機材を提供したり、職員を派遣したりする災害時相互応援協定を締結した。秦野市は姉妹都市関係にある諏訪市とは阪神大震災後の1995年8月に協定を結んでいたが、同市の姉妹都市である伊東、壱岐市を含めた4市間での協定に拡大させた。
秦野市の担当者は「昨年の震災では広域での応援が効果を発揮した。今後さらに、被災経験のある遠方の自治体との協定も進めたい」と話している。
火山のある箱根町は今年6月、北海道洞爺湖町と協定。「2000年の有珠山噴火の時に応援に行った経緯もある」(担当者)ことから締結に至った。
小田原、南足柄市と足柄上・下郡の2市8町は、山梨県の8市町村、静岡県の20市町と「富士箱根伊豆交流圏市町村ネットワーク会議」を構成。災害時の相互応援協定を結んでいるが、この3県では今年6月、富士山噴火に備えるための協議会が発足。広域避難計画づくりや避難訓練の実施も新たな課題となっている。
このほか、震災後の動きとしては、小田原市が二宮尊徳の縁で福島県相馬市と昨年9月に災害時の応援協定を締結している。
南足柄市は東京、静岡、茨城の4市町と協定を結んでいるが、2004年の新潟県中越地震で被災した同県小千谷市とも「協定ではないが、相互応援できる関係を築いている」という。
最近になって協定を結び、早くも応援が行われた事例もある。大井町は、町長同士の交流がきっかけで今年2月、栃木県茂木町と協定を締結。5月の竜巻で被害が出た茂木町からの要請で、大井町がブルーシートを提供した。担当者は「遠からず、近からずで、支援がしやすい距離。今後も関係を大事にしていきたい」と話している。
■県外自治体との災害協定の主な締結先
小田原市:福島県相馬市、栃木県日光市、山梨県甲府市
秦野市:長野県諏訪市、長崎県壱岐市、静岡県伊東市
伊勢原市:長野県茅野市
南足柄市:茨城県守谷市、東京都羽村市、静岡県富士宮市
中井町:山形県戸沢村
大井町:栃木県茂木町
松田町:千葉県横芝光町
山北町:東京都品川区、静岡県小山町
開成町:新潟県小千谷市
箱根町:北海道洞爺湖町、静岡県御殿場市、滋賀県大津市
真鶴町:長野県安曇野市
湯河原町:茨城県水戸市、熊本県人吉市
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