[ カテゴリー:社会 ]

相手に たくさんしゃべらせる、超簡単な3つの技。/川口 雅裕

質問力より前に、身につけるべき3つの聴く技術。

質問力を磨くのは大切だが、すぐに身につけられるほど容易なことではない。営業であれ、面接であれ、話をはずませたり、十分なヒアリングをしたりするためには、いい質問をする力が求められるが、実際には質問が出てこず、頭の中が真っ白になる人も少なくない。だが、相手に気分よく、たくさんの内容を話してもらうのは、質問力がなくても可能である。それが、誰にでもすぐにできる次の3つの技だ。

一つ目は、「うなづき」。うなづくは“頷く”と書き、首やあごを使って、自分が話をちゃんと聞いていることを動作で話し手に伝える。また、“肯く”とも書くので、理解や共感・同意を示すことでもある。自分ではちゃんとうなづいているという感覚があっても、話し手から見てみれば、そうは見えないくらい小さいうなづきであることが多い。聞いている、共感していることを伝えるためには、首の後ろが伸びる感じ、あごが胸の方に向かって動く感じが必要だ。

人前で話す人にとって、うなづきの大きな人の存在はとても嬉しい。伝わっている感じがするから、その人に視線を向けがちになるし、勝手に好感を持ってしまう。プレゼンテーションをしていて、誰もうなづいてくれないので、不安になった経験を持つ人は多いと思うが、安心して相手にしゃべってもらうためには、大きくうなづいて見せるのが非常に効果的なのである。

二つ目は、「あいづち」。話の合間に、はい、ええ、ほお、うん、そうですね、などの言葉を挟んでいくことで、相手の話を聞くだけでなく、積極的に参加しようとしている姿勢を示す。心の中では誰でも言っていると思うが、声に出さないと意味はない。しっかり言葉にして反応を返していくと、相手の話すモチベーションが上がっていく。また、相槌は、鍛冶で二人の職人が交互に槌を打ち合わすことが語源だそうだが、これと同じように会話にはテンポが生まれてくる。

注意点は、同じあいづちの言葉を繰り返し過ぎないこと。漫才のツッコミ側だけ聞いていると分るが、同じ言葉は繰り返していない。「ほお」でも「はい」でもいいが、同じあいづちをずっと入れ続けると、相手は逆に「聞き流しているのでは?」と思ってしまう。相手の話の内容に合わせて、変化をつけながら挟んでいくのがポイントである。

三つ目は、「はげまし」。話している相手を、「面白いですねー。」「興味深いなあ。」「それからどうなったの?」といって動機付ける。伝わっているか・・、共感を得ているか・・、と不安になった話し手の気持ちを励ます言葉である。「もっと詳しく話してくださいよ。」「もうちょっと具体的に教えてもらえません?」などでもいい。これは、あいづちの一種とも言える。はい、ええ、ほお、というあいづちの言葉には意味はないが、はげましの言葉には意味がある、という違いだけだ。人は、思っていることや起こったことを全部しゃべるわけではない。状況や場面に合わせて、割愛したり要約したりする。その話されなかった部分について、話して欲しいと要望するのである。

いい質問をしなくても、「うなづき」「あいづち」「はげまし」を実践するだけで、話し手のモチベーションは上がってくるから、話してくれる量も格段に違ってくる。もし、この3つの技を駆使しても上手くいかないのなら、原因はたった一つ。聞く意欲が感じられない表情をしているからだ。コミュニケーションにおいて最も留意すべきなのは、相手の目はずっと開いているということであり、話し手は聞き手を無意識でもずっと見ていて、その表情や仕草から気持ちを読み取ってしまう。そして、言葉の情報よりも、目で見た情報のほうが記憶に残りやすいのである。

http://news.goo.ne.jp/article/insightnow/bizskills/insightnow-7259.html

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