やけどを食品用ラップなどで覆って治す「ラップ療法」で、傷口が腐って足を切断したり、重い感染症を起こしたりする例が相次いでいることが、日本熱傷学会の調査でわかった。やけどの治療に不慣れな医師が用いて悪化させている例もあり、同学会は今後、注意を呼びかける声明を出す。
ラップ療法は、傷口からの体液で湿らせて、傷を早く治す「湿潤療法」の一つ。この療法で使う医療用シートが認可されている。傷口の細菌感染による化膿(かのう)には注意が必要だが、1990年代後半から、床ずれの治療に食品用ラップなどが使われ始めた。その後、やけどや傷にも効くと、ネットなどで広まった。
日本熱傷学会は「ラップ療法対策特別委員会」を設け、今春、やけど治療の実態を会員からの報告や文献で調べた。この結果、回復の遅れや症状の悪化などのトラブルが48例、確認された。このうち10例は傷口で増えた細菌が全身に回り、高熱や意識障害を起こす敗血症になっていた。
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/life/medical/K2012070607950.html