県の道路交通法施行細則が改正され、来月1日から、ヘッドホンで大音量の音楽を聴きながら自転車を運転した人に、悪質な場合、罰金が科される。携帯電話を使いながらの運転を禁じることも明記した。自転車が絡んだ事故や危ない運転を減らすのが狙いだ。
今回の改正によって、6月から禁止となるのは「イヤホンやヘッドホンをして、大音量で音楽を聴くこと」や「携帯電話を手にもって通話や操作をしたり、画像を注視したりすること」。悪質な場合、5万円以下の罰金が科される。
自転車による危険走行や事故が全国的に問題となり、警察庁が昨年10月、悪質な運転の取り締まりを強化する「自転車交通総合対策」を発表したのを機に、改正することにした。
改正前も、自転車に乗る際に傘を差すことや、物をかついだり持ったりすることを禁じていた。携帯電話を使いながらの運転はこれにあたり、禁じられているとの解釈だったが、今回、はっきり書き込んだ。イヤホン・ヘッドホンの禁止は新たに盛った。
県警によると、県内で昨年発生した自転車事故は1220件で、11人が死亡。県内で交通事故で死亡した人の8・3%にのぼった。無灯火や2人乗りなどへの警告は約4440件あった。
携帯電話の使用中の事故も2008~11年に5件。昨年5月には魚沼市で携帯電話を見ながら運転していた高校生が車と正面衝突して軽傷を負った。同7月には携帯を使いながら運転していた新潟市の30代男性が歩行者とぶつかり、軽傷を負わせている。
県警交通企画課は「携帯を見ながらの運転は前方不注意の事故を招きやすく、バランスも崩れやすい。音楽機器の使用は周囲への注意力が落ちる恐れがある。自転車も車両の一つなので、しっかりマナーを守って運転してほしい」と話した。(高見沢恵理)
◇
平日の朝、新潟市役所近くの交差点で、自転車で通勤や通学に急ぐ人々の様子を観察してみた。
午前8時半から30分間で通りすぎた自転車は計121台。イヤホンやヘッドホンをつけて自転車に乗っている人が15人、携帯電話を操作しながらの人が2人いた。ほとんどが、10~20代と思われる若者だった。
携帯電話をいじりながら歩道を走っていた若い男性は左手にハンドル、右手に携帯。携帯の画面を見ながら、しきりに顔を上げて前方を確認していた。前から歩行者が近づいてきても、速度を落とすことなく、そのまますれ違っていった。
翌日、同じく市中心部の本町周辺でイヤホンをつけて自転車に乗り、信号待ちをしていた高校生に声をかけると、6月からの罰則は知らなかった。「音量は小さめにして音楽を聴きながら乗っているんですけどね……」といったんイヤホンを外して走り始めたが、しばらくすると再びつけて、走り去っていった。(五月女菜穂)
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000001205240005