「脱法ハーブ」の販売が全国的に横行している問題で厚生労働省は過去に脱法ハーブ等に使用された指定薬物の一部を麻薬として指定する方針を固めました。
指定されると麻薬取締法が適用され、厚労省の麻薬取締部が捜査可能となり、譲渡以外にも使用や所持も取り締まりの対象となります。
麻薬として新たに指定される方針のものは、薬事法で規定する指定薬物「VWH-018」「カンナビシクロヘキサノール」「MDPV」「4-メチルメトカチノン」の4種類です。
これらは同省の諮問機関である「依存性薬物検討会」が今年4月に「麻薬に類似する危険がある」として、麻薬として扱うことに合意をしたもので、指定に向け、5月18日から6月16日まで意見を公募する「パブリックコメント」の受付をはじめました。
「脱法ドラッグ」とは非合法の麻薬のような効力が認められますが、現時点では麻薬取締法関連の法律上は違法でない薬品や食品等全般をさします。
但し、今回の脱法ハーブについては薬事法で規定されている薬品であるため一般の医薬品としての法的規制は存在していました。そのため薬局等の販売許可等は必要になるため、現行法でも無許可で販売をしていた場合は薬事法違反となります。
言い換えれば、煙草や酒類も販売許可が必要なのですが、脱法ドラッグの販売もそれらと同程度での販売許可が所轄官公署から承認されれば販売可能だったわけです。
ところが麻薬指定された場合は脱法ハーブの販売許可は下りず(医療目的等の例外適用の可能性はありますが)、使用や所持自体が違法となるわけです(酒類や煙草の使用や所持自体は原則として適法なので、麻薬指定される場合はそれらに対して大きく制限が加えられることになります)。
脱法ハーブが麻薬として指定される背景には、「脱法ハーブ」が健康上有害であるという点とその使用による二次被害(幻覚が見えてしまい、犯罪行為を助長する等)が大きな問題となっているためです。
つまり脱法ハーブは麻薬と同等の効果があるということがその根拠となっています。
古い例で言えば「ヒロポン」は覚せい剤取締法で禁止される1951年以前は一種の「合法ドラッグ」としてごく普通に販売・使用されていました。それが依存性の高い幻覚作用等の副作用が問題視されて法的規制が強化されたわけです。
これらのことから派生する社会問題が発生している以上、規制されるのも妥当であると考えられます。
※ちなみに「脱法ドラッグ」とは「合法ドラッグ」とも呼ばれますが、法的に認可されているという誤解を招きかねないため、近年では「脱法ドラッグ」という表記が一般的です。
http://www.terrafor.net/news_j05XpPoAni.html