<ホテル火災>事務所の壁に配線ショートの跡
広島県福山市のホテルプリンスで宿泊客7人が死亡し、3人が重傷を負った火災で、ホテル1階の事務所兼受付の壁内を通る複数の電線にショートした跡が残っていることが捜査関係者への取材で分かった。電線はかなり古いもので、県警は壁内の配線のショートが出火原因となった可能性があるとみて、電線を鑑定するなどして詳しく調べている。
ホテルは木造建物(2階)と鉄筋コンクリート建物(一部4階)が接合された構造。事務所兼受付は広さ約12平方メートルで、接合された建物全体の中央にあり、木造部分に設けられている。
捜査関係者によると、事務所兼受付の壁の内部には数多くの電線があり、複雑に絡み合っていた。このうち複数の電線が切れており、その断面は、中の銅が溶けて丸みを帯びていた。電線がショートした際によく見られる状態だという。
事務所兼受付がある木造部分は60年に建築され、壁内の配線にもかなり古いものが含まれていた。出火当時は無人で、火の気もなかったことから、壁内の配線がショートして古い建材などを燃やし、火災につながった可能性があるという。
これまでの現場検証などの結果、事務所兼受付の燃え方が特に激しかったことが分かっている。一人で業務にあたっていた女性従業員(75)=重傷=は出火当時、事務所兼受付にはいなかった。
2、3階の客室にいた犠牲者7人は煙を吸い込んで一酸化炭素中毒で死亡したとみられることなどから、県警は事務所兼受付から出た火が上階に燃え広がったとの見方を強めている。壁内の配線以外に、エアコン、冷蔵庫、電話機、レジスター、有線放送機器の各電化製品があり、漏電などがなかったかについても調べている。