東京電力柏崎刈羽原子力発電所(柏崎市、刈羽村)から30キロ圏の9市町村長と知事の計10首長のうち、7人が政府が掲げるエネルギー供給の「脱原発依存」方針に賛成であることが29日、毎日新聞のアンケート調査で分かった。一方、同原発の再稼働について、政府が安全基準を示すことなどを前提に、半数が「条件付きで賛成」と回答。「判断できない」と答える首長もおり、原発への今後の対応に苦慮する様子が浮き彫りとなった。【畠山哲郎】
脱原発依存に賛成した首長に理由を選択式で聞いたところ、大半が「東電福島第1原発事故で原発の危険性が明らかになったため」「安全なエネルギー供給への転換が求められるため」を選んだ。
泉田裕彦知事は賛否の明言は避けたものの「ウランも有限な資源で、いずれ次世代エネルギーの開発が必要」と主張。小千谷市の谷井靖夫市長は「太陽光や風力発電が有効か明確でなく、回答できない」とした。
1人だけ反対した刈羽村の品田宏夫村長は、エネルギーの安定供給のため現時点では原発は欠かせないとした上「代替エネルギーを考慮しながら現実的な対処が必要」とした。
一方、5市町村の首長が、条件付きで再稼働に賛成と回答。必要な条件を選択式で聞いたところ、大半が「政府が再稼働の条件やそれに必要な安全基準を示すこと」を挙げた。
反対した十日町市の関口芳史市長や見附市の久住時男市長は、事故の全容が未解明であることや、安全基準が示されていないことなどを理由とした。
泉田知事は「原発事故の検証がなければ、再稼働を議論する段階にない」と回答。長岡市の森民夫市長は「具体的な判断材料に乏しいため回答できない」、上越市の村山秀幸市長は「分からない」とそれぞれ答えた。
また、東電と自治体が結ぶ、原発への立ち入り調査などを定めた「原子力安全協定」について、既に締結している県と立地自治体の柏崎市、刈羽村以外では、十日町市と出雲崎町が「締結を希望」と回答した。また原発運転期間を「原則40年」とする政府方針については「議論が必要」との回答が目立った。
アンケートの対象とした9市町村は、原発事故後、内閣府原子力安全委員会の作業部会が事故の際、避難などの対策の準備を求める範囲として示した30キロ圏にかかる。県の対策素案でも、全部または一部が「即時避難区域」(PAZ)や「避難準備区域」(UPZ)とされている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120301-00000122-mailo-l15