この時期、仕事でうっかりミスをすると、「まだ正月ボケが抜けてないのか?」なんていわれてしまいがち。そんな一幕も新春の風物詩といえそうだが、実際問題、30代に差し掛かると、ちょっとした物忘れにも「これって歳のせい?」と不安になることがしばしばある。
物忘れといえば、昔から「ミョウガを食べると物忘れをする」なんていわれるけど、何か根拠があるのだろうか? 池袋スカイクリニックの須田隆興先生に聞いてみよう。
「結論からいえば、ミョウガを食べて物忘れをすることはありません。物忘れが進む代表的な疾病には、アルツハイマーや脳血管性認知症などがありますが、前者はアミロイドというたんぱく質が溜まることが原因で、後者は動脈硬化に起因するものとされています。ミョウガの成分を考えてみた時、それに相応するものは一切含まれていませんからね」
脂っこいものを食べ過ぎたり、糖分を摂り過ぎたりすると動脈硬化が起こり、認知症に発展することはあり得る。そういった意味で摂取する食材と物忘れは必ずしも無関係とは言い切れないが、「むしろ、ショウガ科に属するミョウガは、食物繊維やカリウムが豊富で、動脈硬化を予防するのに良い食材ですよ」と須田先生。薬味や味噌汁の具として長年愛されてきたミョウガは、完全に潔白なのでご安心を。
では、なぜミョウガに関して、このような俗説が広まったのか? 実はこれ、“元ネタ”は仏教に由来しているのだという。お釈迦様の弟子に物忘れの達人がいて、自分が首から下げていた名荷(みょうが。名札のこと)の存在すらも忘れてしまうエピソードが存在することから、同じ音を持つミョウガにあらぬ疑いがかけられたのだとか。
酒の席でも使えそうなこのウンチク。物忘れしないよう、ぜひ記憶に留めておきたいところですね。
http://news.goo.ne.jp/article/r25/life/medical/r25-20120123-00022591.html