東京電力は16日、定期検査中の柏崎刈羽原発1号機(110万キロワット)と7号機(135・6万キロワット)の再稼働に向け、安全評価(ストレステスト)1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。東電のストレステストの提出は初めて。1号機は想定する揺れの強さ(基準地震動)に対して約1・3倍、7号機は同約1・4倍、津波では両号機共に想定する高さ(3・3メートル)の約4・5倍の15メートルまで原子炉が損傷を受けずに耐えられると評価した。
両号機は昨年9月9日に同テストを始めた。テストは大規模地震や津波などの負荷を受けた場合、原子炉がどこまで損傷せずに耐えられるかをコンピューターで計算し、調べるもの。
同テストではこのほか、すべての電源が喪失した場合でも両号機とも約12日間冷却機能が維持できるとしている。
報告書は今後、保安院が設置する意見聴取会による審査、原子力安全委員会のチェックなどが必要。すでに昨年10月から今月13日までに全国の原発12基が報告書を提出し、保安院が審査している。報告書が妥当でも、再稼働には最終的に地元の合意が必要となる。
同テストについて、これまで泉田裕彦知事は「福島第1原発事故の検証なくしては安全対策は考えられない。やらないよりはやった方がいい程度」とし、柏崎市の会田洋市長も「福島事故の徹底した調査、検証が必要。ストレステストをもって安全確認だという理解には至っていない」といずれも批判的だ。一方、刈羽村の品田宏夫村長は16日、報告書の提出を受け「ストレステストをやろうとやるまいと物理的な安全は変わらない。安全が科学的に担保されていれば原発を止めておく必要はない」と話した。
同日、記者会見した新井史朗副所長は「確実に余裕があることが数値で表せた。地元には丁寧に説明したい」と説明。今後は住民説明会も開くという。
1号機は1985年から、7号機は97年から、それぞれ営業運転を始めた。2~4号機は中越沖地震(07年)の影響で停止しており、現在運転しているのは5、6号機のみ。ただし5号機が今月25日、6号機が今年3月下旬に定期検査に入る上、1、7号機のストレステストに関する保安院の審査も数カ月はかかると予想され、このため全7基が停止するとみられる。
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