東日本大震災などの影響で、高齢者向けの肺炎球菌ワクチンの接種希望者が急増し、品薄になっていることが分かった。製造元の製薬会社「MSD」(東京都)は「接種予約を可能な限り延ばしてほしい」と呼びかけている。専門家は、肺炎の原因となる風邪やインフルエンザを予防するため、手洗いやうがいの励行を求めている。
肺炎の重症化を防ぐ効果がある肺炎球菌ワクチンには、主に65歳以上を対象とする成人向けと乳幼児向けの2種類がある。現在、品薄になっているのは成人向けの「ニューモバックスNP」。自己負担は7000~8000円だが、約650市町村が費用の一部または全部を助成している。
同社によると、11月の接種者は前年同期の4倍になり、今月に入ってから品薄状態になった。「今年は震災で『備える』という意識が高まり、流行期の11月以降、希望者が急増し、想定を上回った」と説明する。同社は被災地の宮城、岩手、福島の3県に優先的にワクチンを供給しており、全国に十分供給できるようになるのは来年2月以降だという。
肺炎球菌は幼児や高齢者、重い病気のある人がかかると死亡することがある。
渡辺彰・東北大教授(感染症学)は「肺炎にならないように、インフルエンザワクチンを接種したり、風邪の予防に努めてほしい」と話す。
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