厚生労働省は全ての児童養護施設と乳児院計約700カ所に里親支援の専門担当職員を配置する「事項要求」を来年度予算の概算要求に盛り込んだ。金額は明記していないが、初年度は全体の4分の1程度を目標に、全都道府県の施設に複数箇所以上配置する費用として約5億円を見込んでいる。里親を巡っては3歳の里子を死なせたとして声優の里親が逮捕・起訴され、その背景に十分な支援がなかったとの指摘もある。専門担当職員は里親を孤立させず、地域での受け皿となることが期待されている。
児童養護施設などで子供に直接関わる職員は、保育士や、大学で心理学などを専攻した児童指導員がなる。こうした中で里親の専門担当職員は「里親の実情を把握でき、その苦悩を受け止められる対応力や経験」(厚労省)を持つ人物が対象になるとみられる。里親を訪問して相談に乗り、地域で里親交流会を開いたり、里子を一時預かることなども想定されている。
里子は実親からの放置や虐待の経験から、あえて問題行動を繰り返すなど「試し行動」をすることも多い。
だが、現行の里親の研修は標準で4日間程度。一方で、虐待への対応に忙殺される児童相談所(児相)で専従職員を置くのは一部にとどまり、全国児童相談所長会の今年度調査でも児相の問題点について「里親の悩みへの対応が不十分」との回答が4人に1人に上る。
また、虐待などで家庭で暮らせない子供の行き先を施設に託すか里親に委ねるかは主に児相が判断し、里親委託の解除権限も実質的に持つため「児相には本音を言えない場合も多く、児相とは別の相談先も必要」(全国里親会の評議員)との指摘もあった。
厚労省は6月の専門家会合で、実親と暮らせない子供について、現行では1割の里親の割合をファミリーホームを含めて3分の1まで高め、施設に専門担当職員を置く方向性を打ち出していた。
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