野田佳彦首相は30日、臨時国会が閉会したのを受け首相官邸で記者会見し、埼玉県朝霞市で建設中の国家公務員宿舎について「真摯(しんし)に(批判を)受け止め、近々、現場に行き考えをまとめ最終的な判断をしたい」と述べ、建設計画を見直す考えを示した。建設費105億円の同宿舎に対しては、国会審議などで「税金の無駄遣い」との批判が続出していた。首相はまた、東日本大震災の復興に向けた11年度第3次補正予算案の早期成立のため、「与野党協議を速やかにお願いしたい」と述べた。
自民党政権時代の08年に建設の決まった同宿舎は、09年11月の事業仕分けで「必要性に疑問がある」として凍結された。だが、昨年12月、財務相だった首相が「必要」として凍結を解除。野田政権発足直前の9月1日に着工された。
首相は26日の衆院予算委員会で、自民党の塩崎恭久氏が建設停止を求めたのに対し、「全体的な宿舎事情を含めて判断した。変更するつもりはない」と答弁した。しかし、与野党からの批判の高まりに、姿勢を変化させた。建設の取りやめや、被災者の受け入れなどを検討するとみられる。
与野党協議に関しては「野党から良い提案をいただければ虚心坦懐(たんかい)に取り入れたい」と強調。次期臨時国会の召集日は「10月中のなるべく早い時期」とした。
原発の新規立地については「困難な状況という基本認識は変わらない」と改めて明言。エネルギー基本計画を「白紙で見直し、来年の夏まで中長期の計画を作っていく」とした。
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題では「(地元で)県外移転を求める声が多いことはよく承知しているが、日米合意にのっとって、沖縄の負担軽減をするのが基本線だ」と述べ、同県名護市辺野古への移設に理解を求めていく考えを示した。
民主党の小沢一郎元代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り、元秘書が有罪判決を受け、野党が国会での証人喚問を求めていることについては「司法への影響を踏まえると、そういうやり方が妥当なのか慎重に考える必要がある」と述べた。
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