奈良、和歌山両県では16日朝から一部で雨となり、台風12号による豪雨で両県内にできた土砂ダムは決壊の恐れが高まった。16日午後から17日にかけて激しい雨が予想されている。近畿地方整備局は警戒を強めるとともに16日、和歌山県田辺市熊野(いや)と、奈良県五條市大塔町赤谷の土砂ダムで土砂の一部を削って水を抜くための排水路を設ける緊急工事をすると発表した。この日午後から工事のために現場につながる道路を補修する作業に着手するが、いずれも排水路完成まで数カ月かかる見通しという。
近畿地方整備局によると、排水路はいずれも長さ500メートル、幅15メートルで、土砂をくりぬいて造り、内部を金属のネットと石で固めて崩れるのを防ぐ。熊野の土砂ダムについては、ポンプ排水も同時進行で進める方針で、早ければ17日にも着手する。赤谷の土砂ダムでは大雨の時にポンプ排水も行う方針だが、現場に重機やポンプを運ぶのに少なくとも3日間はかかるという。
関係自治体も警戒態勢を取った。田辺市はこの日朝、土砂ダムによる土砂災害の恐れがあり、避難指示が出ている熊野地区を封鎖するため、地区に通じる市道に、金属製門扉(幅4.5メートル、高さ1.4メートル)を設置した。
大阪管区気象台によると、奈良、和歌山両県では沖縄付近でほとんど停滞状態になっている台風15号の影響で南から湿った空気が入り、16日昼過ぎから雷を伴った激しい雨が予想される。同日正午からの24時間雨量は、多いところで300ミリ~200ミリに達する見通し。紀伊半島では18日まで強い雨に警戒が必要で、普段よりも少ない雨量で土砂崩れや土石流が起きる恐れがあることから、気象台は大雨警報を発令する基準を暫定的に引き下げて、警戒を呼びかけている。
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