スマートフォン、スマートグリッドなど「スマート」という言葉を近頃よく耳にするようになった。3月11日の東日本大震災をきっかけに日本人の意識は大きく変わり、節電や節約を心がけるなど、言葉だけでなく”無駄なく合理的に”という「スマート」な価値観が急速に広まっているようだ。では、震災後、生活の価値観は具体的にどのように変化したのだろうか。アイシェアは、東京都、大阪府、愛知県に在住で、20代から40代の男女を対象に調査を実施し、1,223名からの回答結果を公開した。
● 震災をきっかけに変わった「食への意識」
調査によると、震災以降に普段の生活に対する意識が「変わった」としたのは全体の55.7%。男女別に見ると、男性は45.1%だったが、女性では66.8%と21.7ポイントも上回っている。さらに “飲食”について尋ねたところ、意識が変化したという回答者のうち60.2%と半数以上が意識が「変わった」と答えた。女性では64.3%とここでも高い。
具体的な飲食に対する意識変化を複数回答で聞いた質問では、最も多かったものとして「安全性を考えて飲食物を選ぶようになった(55.9%)」という意見が挙がった。また、「保存性が高い飲食物の必要性を見直した(52.2%)」「火や水を使って調理する必要がない飲食物の必要性を見直した(29.3%)」との声も上位に挙がっており、安全で簡単に食べられる保存食が見直されていることが分かる。
これらの人のうち、飲食において”スマート(無駄なく合理的)”であることを『意識するようになった』としたのは「とても意識するようになった(14.1%)」「少し意識するようになった(53.7%)」の合計67.8%と過半数。女性では73.0%にものぼっている。
飲食における”スマート(無駄なく合理的)”の定義を回答者の意識変化と照らし合わせると、「安全性」「保存性が高い」「調理せずに簡単に摂取できる」といったキーワードが浮かび上がるが、消費者の中では食の安全性を強く意識しているだけでなく、万が一の機会が訪れた際には非常食としても流用できる食品に対する意識が高いようである。
● 意識の変化によって生活における行動にも変化が
冒頭の質問で「生活に対する意識が変化した」という回答者に、その他の生活に関する意識変化を複数回答ですべて挙げてもらったところ、やはり最も多く挙がったのは「電力消費(82.1%)」。それに続いたのが「買い物(42.9%)」「旅行・レジャー(25.3%)」だった。震災、及びその後の原発事故によって発生した電力不足とそれに伴う生産力の減少、放射性物質飛散による食品への影響、原発事故の状況を警戒しての旅行客減少など、消費者の生活意識の変化はいずれも震災以降にニュースで大きく取り上げられた問題と一致している。
このような意識の変化に対して、実際の生活における行動に変化は見られるのだろうか。回答者全員に尋ねた質問では、自分自身が震災以降”スマート(無駄なく合理的)”に行動するように『なった』としたのは「とてもなった(2.0%)」「少しなった(28.0%)」の合計30.0%だった。しかし、今後”スマート(無駄なく合理的)”に行動していきたいかとの質問には「とてもしたい(15.6%)」「どちらかというとしたい(33.6%)」の合計49.2%と半数近くが『したい』と回答。女性では57.9%もの人が”スマート(無駄なく合理的)”な行動に目を向けていた。
震災を機に見直された生活に対する意識や行動。飲食に関しても、安全で簡単に食べられて保存がきく”スマートフード”とも呼べるような、無駄のない合理的なものが求められていることが分かった。”スマート(無駄なく合理的)”という価値観は、今後のあらゆる基準として広まっていきそうである。
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