◇新潟・長岡に避難 南相馬・合唱団の中学生、呼びかけ
「みんな元気ですか。私は長岡市の中学に通うことになりました」。東京電力福島第1原発の事故で新潟県長岡市に避難している南相馬市の中学3年、石井佳奈さん(14)が各地に避難した仲間に向け、インターネットの無料動画サイト「ユーストリーム」で近況を報告した。同市のジュニア合唱団「MJCアンサンブル」で、8月の全国大会を目指していたさなかの被災。「またみんなで歌いたい」と、仲間との再会を願っている。
南相馬市原町区の自宅は原発から30キロ以内の「屋内退避圏」にあり、石井さんは母真由美さん(42)と2人で、飯舘村を経て、3月19日に長岡市に避難した。
避難所では、同級生も友達もいない。震災当日にわかれて以来、会っていない一番の親友のことが気掛かりだった。小学生のとき、いじめに遭っていた自分を「一緒に合唱やろう」と誘ってくれた。1週間後に、ようやく電話で連絡がついた親友から、仙台市の中学校に転校することを知らされた。震災前まで通った原町第一中には再び一緒に通うことができない。涙が止まらなかった。
山形や鹿児島などに避難したメンバーもいて、合唱団の仲間は離ればなれになった。「私はここにいるよって、みんなに伝えたい」。長岡市のNPO「ながおか生活情報交流ねっと」がメッセージのネット配信を呼びかけているのを知り、石井さんは手を挙げた。
「原発がなければ、みんなとバラバラになることもなかった。本当に悲しくてさみしい」。石井さんはカメラに向かって気持ちを吐き出す。南相馬に戻るめどは立たず、長岡市の中学校に転入する。それでも合唱は続けるつもりだ。「とにかく、みんなで歌いたい」。支え合ってきた仲間ともう一度、歌声を響かせる日を夢見ている。【岡田英】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110412-00000027-mailo-l07