猛烈な強さとなった台風21号。4日(火)から5日(水)にかけて、本州に接近し、上陸するおそれが高い。日本の南でカーブを描く進路は過去、甚大な台風被害が発生している。
台風の発達に好条件な海域
9月1日(土)は二百十日。昔から台風の厄日として知られています。今年はすでに3個上陸し、もう次の台風が近づいています。
台風21号は31日午前、猛烈な強さとなりました。このあたりの海域は海面だけでなく、水深100メートル付近まで水温が26度くらいあります。台風の猛烈な風で海水がかき混ぜられても、水温が下がりにくく、台風の発達に好条件な海域です。
気象衛星からみた台風21号の雲は濃密で、眼を拡大すると、くぼみがはっきりとわかります。台風が非常に湿った空気を次々に取り込んで、雨雲を発達させている様子が推測できます。
予想進路「転向点」が鍵
台風21号はしばらく勢力を維持したまま、西寄りに進みます。3日(月)には進路を次第に北寄りに変えて、さらに4日(火)から5日(水)にかけて、本州に接近し、上陸するおそれが高くなっています。
カーブを描くような進路は秋の台風によく見られるもので、台風が西寄りから東寄りに向きを変える「転向点」が予想のポイントになるでしょう。
台風を野球に例えると、ピッチャーが投げるときの肘の位置や角度によって、球のコースが変わるように、台風の動きも「転向点=肘」によって変わってきます。
台風21号 危険なコース
そして、もうひとつ重要なことは、台風が本州に近づくとスピードが速まることです。転向点の話をしましたが、台風が向きを変えるのは日本付近を流れる上空の強い西風に流されるからです。
予想されるように、台風21号があまり衰えずに近づき、さらにスピードが速くなると、進行方向の東側(右)では猛烈な風が吹きます。もちろん、暴風だけでなく、発達した雨雲による竜巻も心配されます。
今回と似たようなコースをたどった2013年台風18号では和歌山県、三重県、群馬県、埼玉県、栃木県であわせて10個の竜巻が発生しました。ひとつの台風による竜巻としては過去最多です。