県内でツキノワグマが頻繁に出没している。県環境企画課によると、4~7月に報告された目撃・痕跡情報の件数は444件に上り、平成19年以降で3番目に多くなっている=グラフ。人が襲われたケースも4件あり、県や自治体などは山すそ近くの住民や登山客らに注意を促している。(太田泰)
目撃情報は県境周辺の山間部で多い。上越市には今年1月から8月1日までに昨年同期の約1・6倍に当たる59件の情報が寄せられた。同市に隣接する妙高市でも4~7月に42件の情報が寄せられており、担当者は「昨年の倍以上のペース」と驚く。
人的被害では6月8日、長岡市吹谷の山の麓で木を伐採していた70代の男性が襲われ、背中に傷を負った。男性は命に別条はなかった。
このため、各自治体は、熊が目撃された場所の周辺にわなを仕掛け、防災無線で注意情報を伝えるとともに、職員のパトロールを強化する対策を実行している。県内で熊に襲われた死亡者は、平成13年10月の新発田市でのケースを最後に確認されていない。
夏には登山を楽しむため山に入る行楽客が増える。県環境企画課は「熊が目撃された場所にはなるべく近寄らず、山中では鈴やラジオなどの音で自分の存在を熊に知らせてほしい」と対策を訴えている。
それでも熊に遭遇した場合は、慌てずに向かい合ったままゆっくり後退して逃げる▽襲われたときは地面に伏せ、頭部や首などの急所を防ぐ▽小熊を見つけた場合、母熊がいる可能性が高いので近寄らない-などに気を付ける必要があるとしている。
秋に入り、熊が餌を求めて人里近くに現れる可能性もあり、自治体や県警は今後も警戒を強めていく構えだ。
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