日本認知症学会などの関連学会は、3月に施行予定の改正道路交通法に関する提言を公表した。認知症と診断された75歳以上のドライバーの運転免許証を取り消すかどうかについては、診断結果に基づくのではなく、実際の技能テストなどで運転技能の専門家によって判断されるべきとの見解を示している。【松村秀士】
3月12日に施行される同法では、免許証更新時の検査で「認知症の恐れがある」と判断された75歳以上の全ての運転者は医師の受診が義務付けられ、認知症と診断された場合は免許証の停止や取り消しとなる。
施行を前に、日本認知症学会と日本老年医学会、日本神経学会、日本神経治療学会の4学会が提言をまとめた。提言では、運転での判断や操作の能力や特徴について、初期の認知症の人や、認知機能の低下が進行して認知症になる可能性がある軽度認知障害(MCI)の人と、そうでない一般の高齢者との間で「違いは必ずしも明らかではない」と指摘。その上で、特に初期の認知症の人の免許証を取り消すかどうかに関しては、実車テストなどを行って運転技能の評価にかかわる専門家がその技能の有無を判断する方法に基づくべきとの考えを示した。
さらに、運転ができなくなった高齢者やその家族らの生活の質を保証するため、公共交通システムを再整備するよう要望。免許証の自主返納に関しては、「可能な限り強制的ではない」方法で促すべきだとした。
4学会はこの提言を、警察庁や厚生労働省、国土交通省などの担当者らでつくる「高齢運転者交通事故防止対策ワーキングチーム」の構成員に送付した。
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