先日、川崎で起きた凄惨な中1殺人事件で、19歳の少年に判決が下りました。いじめの問題は、非常に重要な問題です。学校関係者や、先生など多くの人が、いじめがなくなるように努力をされていると思います。
しかし、実際はいじめがなかなかなくならずに悩んでいる親や先生、そしてもちろん子どもたちも多くいます。
もし、我が子が学校でいじめられていると知ったら、親であるみなさんはどんな対応をするでしょうか?
そこで今回は、京都大学名誉教授でもあった河合隼雄さんの著書『Q&A こころの子育て 誕生から思春期までの48章』を参考に、“子どもがいじめにあった時にとるべき親の対応”を紹介します。
■いじめにあった時は“父性原理”が大事
我が子がいじめにあった時の親の対応としては、“父性”が大事だというのです。これは一体、どういうことなのでしょうか。
<いじめの場合の父性原理というのは、冷静に判断し、毅然として行動することです。自分の子どもの生命が脅かされることもあるわけだから、自分の子どもを絶対に守るということです。>
近頃のいじめは、SNSなどを使ったりすることもあるようで、より複雑に陰湿になっていると言われています。よって、その実態をつかむことも難しいようで、対応も難しいのです。
親としては、もちろん単純には考えずに、まずは子どもに寄り添い受け入れましょう。その問題を親に打ち明けることすら、子どもにとっては非常に勇気が必要なことだったかもしれません。まずは、子どもの話を「よく言ってくれたね」と受け入れてあげる必要があります。
そして、その上で父性的な対応が必要となるというのです。決して勢いに任せて、相手や相手の親、ましてや子ども本人に怒りをぶつけてはなりません。
■いじめをしている・いじめられている子どもには“心のつながり”を大切に
いじめは、標的にされている子どもを、最悪自殺に追い込んでしまうこともあります。もし自分の子どもがいじめをしている場合は、ハッキリと「ダメだ」という必要があります。
このような毅然とした親の態度が、大事なのです。
<いじめる側の子も、いじめられる側の子も、そこから抜け出すときには“こころのつながり”が必要なんです。特にいじめられている子が助けを求めようというときには、そのつながりが命綱みたいなものです。自分はわが子とどんなふうにつながっているだろうかと、普段から考えていることが大事です。>
いじめは、“親との心のつながり”が命綱の役割になるそうです。
どんなことがあっても親は子どもの味方である、という態度を明確に示すことと、普段から、そのつながりをしっかりとお互いが自覚できるようにしておくことが大切なのですね。
日本では、“人と違うこと”がいじめの対象になったりもしますので非常に難しい側面もあります。どんな時であっても、親が毅然とした態度で、子どもの味方であることを示してあげましょう。
以上、“子どもがいじめにあった時のとるべき親の対応”でしたがいかがだったでしょうか? なかなか一筋縄ではいかないのがいじめの問題です。
我が子がいじめにあっても、慌てたりオロオロしたり、変に怒ったりしないで、親こそがしっかりとした態度で子どもを守ってあげるという姿勢を明確にしましょう。
(ライター 吉田和充)
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