「着物需要も落ち込み、注文もない中で使われないものは廃れてしまう。東京五輪を契機に小千谷縮をPRして、縮の未来を洋服分野への進出に託したいと考えた」
小千谷織物同業協同組合の松井均理事長は日本選手団ユニホームに「小千谷縮」の素材の採用を目指す理由をこう話す。
平成26年末、組合は市や商工会議所、観光協会とともに「小千谷縮・東京五輪戦略会議」を設立。「五輪の入場行進で小千谷縮で作ったジャケットを選手に着てもらいたい」(松井理事長)と、これまで日本オリンピック委員会(JOC)や東京五輪組織委員会などに働きかけてきた。
なぜ、五輪公式ユニホームに「縮」の活用なのか。
「小千谷縮は麻100%の自然素材で、着て歩くと風を通すのが特徴。高温多湿の日本の気候には最も適している」と、小千谷市商工観光課の井口久美子係長は説明する。
組合の資料によると、小千谷縮は明和8(1771)年に江戸城本丸御召御用縮を用命。諸大名は端午の節句の際、「菖(しょう)蒲(ぶ)帷(かた)子(びら)」という小千谷縮の麻裃(かみしも)を着用するよう定められた。風通しのよい夏の衣料として武家から庶民まで親しまれ、年産22万反を超える生産量を誇った。平成21年にはユネスコの世界無形文化遺産に登録された。
「公式ジャケットの試作品も作った。縮は、はんてんにもなるし、ウイニングランの時に選手に羽織ってもらうこともできる」。松井理事長はこう語る。
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