振り込め詐欺グループの幹部が、末端メンバーのだまし取った現金を受け取ったり、詐欺に使う携帯電話を渡したりする際に、直接顔を合わせずに済むよう、暗証番号式のコインロッカーや人けのない神社の裏手、ごみ捨て場など、さまざまな場所を指定していることが分かった。「置き渡し」と呼ばれる手口で、振り込め詐欺の根絶に必須な幹部摘発の妨げとなっている。
詐欺グループの多くは、電話をかけて高齢者をだます「かけ子」や現金を受け取りに行く「受け子」など、役割が分かれている。これらはいずれも末端のメンバーで、グループを統括する幹部の指示通りに動く。携帯電話でやり取りするため、メンバーは幹部の顔も名前も知らない場合がほとんどだ。
一昨年12月、見知らぬ男に勧誘されて「受け子」になった横浜市の無職の男(29)は、幹部からの電話による指示通り、神奈川県大和市の路上で高齢者から現金1000万円を受け取ると、タクシーで東京都内に移動し、公園のベンチに現金を置いた。さらに駅のコインロッカーの暗証番号を教えられ、中に置かれた報酬30万円を受け取った。幹部とは1度も顔を合わせたことがないという。
昨年7月には別の詐欺グループの「受け子」の男(30)が横浜市内の駅の暗証番号式ロッカーにだまし取った300万円を預け、直後に幹部に電話で暗証番号を伝えた。捜査関係者によると、同様のロッカーを介したケースが他にも確認されているという。
人けのない場所も使われている。昨年9月に逮捕された無職の男(26)は、静岡県の高齢者からだまし取った100万円を指示通り、神社の裏手に置いて幹部に渡そうとしていた。昨年3月に摘発された埼玉県の「かけ子」グループは、週2回程度、幹部から「自動販売機の下」などの場所を指定され、名簿や携帯電話の入った鍵付きのかばんを受け取る決まりだった。
捜査関係者は「置き渡しの場所に現れる人物が幹部とは限らず、何人も介在していることが多い。末端メンバーが逮捕されても幹部だけは助かろうとする、巧妙で卑劣なやり口だ」と話している。
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