明るい大彗星(すいせい)になると期待されている「アイソン彗星」が今月末の太陽最接近を前に、急に明るさを増している。早ければ20日ごろから肉眼で観察でき、見頃は来月上旬とみられ、夜明け前の空を飾る美しい姿が天文ファンを魅了しそうだ。
彗星はガスやちりを噴き出しながら太陽系を移動する小天体。太陽に近づくと中心部の氷が解け、蒸発したガスなどが尾のように伸びるため、ほうき星とも呼ばれる。
アイソン彗星は昨年9月に発見された。今月29日に太陽の直径より短い約117万キロの距離まで太陽に接近する。ハレー彗星のように太陽を周回するタイプではないため、観察は最初で最後の貴重なチャンスだ。
彗星の明るさや尾の長さは予測が難しい。アイソン彗星は当初、満月のように明るくなるとも期待されたが、現時点では金星よりやや明るくなる程度とみられている。13日ごろから急激に明るさを増しており、市街地から離れた場所では既に双眼鏡で確認できる。
国立天文台の渡部潤一副台長は「急な増光現象は一時的なものとみられるが、国内では平成9年のへール・ボップ彗星以来の長い尾を持つ“彗星らしい彗星”になりそう」と期待する。
アイソン彗星が見えるのは日の出前の東の空で、最接近に向けて徐々に明るくなる見込み。ただ位置が低いため、高台など地平線付近まで見える場所でないと観察できない。最接近の前後数日は地平線の下に隠れてしまう。
12月は太陽から離れて暗くなっていくが、見える位置は高くなる。彗星の尾は太陽への最接近以降の方が鮮明になる傾向があり、最も見やすいのは7日ごろから15日ごろまでと渡部氏は予想している。
日中は空が明るく見えない上、すぐ近くの太陽が視界に入って目を痛める恐れがあり、専門家は観察しないよう呼びかけている。
http://sankei.jp.msn.com/science/news/131118/scn13111815070007-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/science/news/131118/scn13111815070007-n2.htm