夜空を見上げると、夏には「さそり座」や「いて座」、冬には「オリオン座」や「おうし座」。さらに、北を向けばWの形で有名な「カシオペア座」や北斗七星を持つ「おおぐま座」など、いろいろな星座を見ることができます。
もともとこのような星座は、星の配置から好きなように連想して作られたものですが、その歴史をさかのぼってみると、何度か作られては消えて…を繰り返しています。
そこで今回は、すでに消えて無くなってしまった星座たちをご紹介したいと思います。
■アルゴ座
現代の星座は1928年に国際天文学連合(IAU)によって88種類が定められています。しかし、16世紀までは「トレミーの48星座」と呼ばれる48種類の星座が一般的に使われていました。
今の88星座には、その48星座のうち47種類が採用されていますが、その中で唯一採用されなかったのがこの「アルゴ座」です。「アルゴ」とは、ギリシア神話に登場する巨大な船の名前で、それにちなんで作られた星座です。
この星座が88星座に採用されなかったのは、その大きさが原因でした。というのも、このアルゴ座は今の88星座で最大の大きさを誇る「うみへび座」の1.5倍(空全体の1/8程度)もある、とてつもないサイズでした。
そのため、1752年にフランスの天文学者ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって、ほ座・とも座・りゅうこつ座・らしんばん座の4つに分割されています。これらの星座はいずれも南天の星座(南半球でよく見える星座)であるため、日本からはあまり見ることができません。
■しぶんぎ座
「しぶんぎ」は漢字では「四分儀」と書きます。円を4分割した扇型をしており、そこに付いている目盛と望遠鏡を使って、天体の位置から自分がいる場所の緯度を割り出すための測量器具です。
18世紀にフランスの天文学者ジェローム・ラランドによって作られた星座ですが、この星座も1928年に国際天文学連合(IAU)が88星座を取り決めた際に外されました。
現在、この領域は「りゅう座」の一部となっていますが、毎年1月に出現する「りゅう座ι(イオタ)流星群」は、りゅう座の中心から遠く離れているため、今でも「しぶんぎ座流星群」と呼ばれることが多くなっています。
なお、「しぶんぎ(四分儀)座」は無くなってしまいましたが、「ろくぶんぎ(六分儀)座」や「はちぶんぎ(八分儀)座」は、今も88星座の中に含まれています。
■チャールズのかしのき座
ハレー彗星で有名なエドモンド・ハレーが、1679年に当時のイギリス国王チャールズ2世のために作った星座です。
これは、チャールズ2世が子供のころに起こった清教徒革命で敵軍に追われたときに隠れた樫の木(ロイヤル・オーク)をイメージしたものでした。
17世紀頃というのは、このように星座が王室や貴族と深く関わっていた時代でもありました。
■みつばち座
「みつばち座」は17世紀の初めに、ドイツ人のヨハン・バイエルによって作られた星座です。
しかしその後、イタリアの天文学者リッチョーリが「はち座、またははえ座」と書いた一方、イギリスの天文学者ハレーは「はえ座、またはみつばち座」と書くなど、表記方法で混乱が生じました。
そのため、18世紀にラカーユが「はえ座」を採用、統一させたことで事態は収束し、現在に至ります。
なお、みつばち座の略号(Apis)が、ふうちょう座(Apus)と表記を間違えやすいことから、はえ座(Musca)が採用されたようです。
はえ座のすぐ隣にはカメレオン座があることから、やはりカメレオンの餌となるハエの方がふさわしいとも言えるかもしれませんね。
ところで、ハエというとどちらかと言えば嫌われている虫ですが、他にもみみず座・なめくじ座・くも座・ひきがえる座・ひる座など、一般的にはあまり好まれていない生物の星座もいくつか作られたことがあります。
■まとめ
現在は88種類ですが、多いときには130種類ほどもあったと言われる星座。
ギリシア神話に基づいて生まれた「アルゴ座」や、科学技術の発達によって生まれた「しぶんぎ座」など、星座の歴史は神話や科学といった文化の歴史でもありますので、星座を見ながらいろいろな時代背景について調べてみるのも面白いかもしれません。
http://news.goo.ne.jp/article/mynaviwomen/life/education/mynaviwomen-352981.html