障害者の就農広げたい 有機無農薬野菜の栽培本格化 仙台
障害者の就労、自立支援を行っている仙台市青葉区のNPO法人「ほっぷの森」が、有機無農薬野菜の栽培と販売を来年度から本格化させる。障害者が草取りや害虫防除などの作物管理を担当、丹精を込めて育てる。有機無農薬栽培という付加価値を生かした価格で販売し、収益を障害者の賃金に充てる。
「ほっぷの森」は、太白区長町でレストラン「びすた~り」を経営し、食材用野菜を名取市にある農園「びすた~りファーム」(約3000平方メートル)で栽培している。
現在はレストランとの兼務で5人の障害者が働くが、来年度は新たに5人程度を雇用、栽培に専念させて生産性を高め、収穫した野菜を長町に開設した事務所「びすた~りフードマーケット」やイベント会場などで販売する。
障害者は土と触れ合い、収穫の喜びを実感しているという。来年度以降、名取市の農家の協力を得て、セリの栽培や収穫、出荷作業にも取り組む。事業が軌道に乗れば、さらに10人ほどの障害者を雇用したい考えだ。
21日には宮城県内の障害者支援学校や仙台市の担当者を招き、名取の農園で事業説明会を行った。参加した県光明支援学校(泉区)の遠藤誠一教諭(44)は「不況で卒業予定者の就労の場の確保に苦労している。新たな選択肢ができるのはありがたい」と話す。
農園ではジャガイモやズッキーニ、ニンニクなど約15種類の野菜を有機無農薬で栽培しており、消費者から「滋味にあふれておいしい」と好評だ。
「ほっぷの森」の白木福次郎理事長(白木屋副会長)は「栽培に手間が掛かる分、価格はスーパーよりも高くなるが、値段に見合った野菜を提供したい。作物を育てる喜びを皆で分かち合いながら事業に取り組み、障害者の自立を支援したい」と張り切る。