授産活動プロデュース事業者関係研修会報告:H21年3月27日
こんにちは、あおぞら本多です。
先日県主催の工賃向上に向けて、施設間連携を取り上げた研修会が開催されました。
冒頭、来年度の県の授産活動プロデュース事業の概要説明があり、その後、C‐nets事例報告させていただきました。それを踏まえてセッションが行われました。以下、報告になります。
(Aグループ本多、Bグループ樋口がまとめました。かなり長くてすみません)
セッションテーマ:「工賃倍増に向けてどのように地域ネットワークを構築し施設間の連携を図っていくか」
Aグループ
ファシリテーター 小西さん・本多
話題提供者 笠井さん(NPO法人住民安全ネットワークジャパン・保護者)、
武田さん(和工房・支援員)
■話題提供者のC-netsに加入したきっかけ、かかわり
【笠井さん】
・障害者を持つ子(現在小学生)の親としては、成長したら地域とかかわって育って欲しい。
・福祉施設の現状、工賃1万円に驚いた。どうしてもっと上げられないのか?
・みんなで協力してやってみたらどうか?営業が苦手なら自分がとってくる。
【武田さん】
・C-netsに参加して利用者が外に出る機会が増えた。利用者が「やりたい」と言うようになった。
・期間限定であるが、アルバイトにまでつながった。
・他施設とのつながりができた。情報共有。
・職員のレベルアップにつながった。ある施設は「職員は上司である」という考えを持っていた。
■自己紹介および施設間連協について感じていること
・法人内での連携はあるが、これからは他施設とも連携していきたい。
・笠井さんのような考えを持っている保護者は少ない。仕事出来る方と出来ない方がいる。
・外部との接触少ない。これまでは手段がなかった
・工賃倍増に取り組み中。出来る人できない人がいる。共同受注よさそう。長岡ではまだ・・
・受託作業のみ。連携していきたい。
・どうやって会員を増やしたのか?営業はどうやっているのか?
・施設間だけでなく、地域に応援団をつくっている。地域にお願いする。
・連携がなく、どこがどんな仕事をしているか分からない。
・法人内でのネットワークはある。利用者のケースを通して施設間の連携ができた。
・法人内で工賃向上計画‘SUMNET(セールス・アップ・ミーティング・ネット)’
・工賃7200円(H19)⇒12000円(H20)菓子職人に入ってもらった。共同受注あるといい。
・C-nets加入1年半。前向きな会。わくわくして参加。地域資源を広げていく会。
・コンサル2年目。工賃倍増には企業体質の強化が必要。経営的感覚。1、収入増2、無駄を省く3、計画に基づいて
■施設間連協は必要か?(ほぼ全員必要ということを確認したうえで)
・自分たちでアクション起こしていくことが必要。問題意識を共有していくことが必要。
・(外に出られるので)職員の健康上にも良い。
・職員が他施設の工賃アップに対して実務をこなせるのか?
・職員の共有はできないが、ボランティアさんの共有はできるのではないか。
・職員自らが関係を作っていくことが必要。
※(話題提供者:笠井さんより)福祉外の立場から言わせてもらうと、施設の方は「準備してから、体制が整ってから・・」とよく言うが、結局それで終わっていることが多いように感じる。まずは仕事。まず一歩踏み出すことが大切なのではないか。
■契約はどうなっているか?
⇒(本多)課題だと感じている。
現状は企業とあおぞら、企業と笠井さんの間で契約書を交わしているだけ。今後は会員施設とも契約を交わしていく必要はある。
■営業はどうなっているか?
⇒(本多)会員施設全員が営業担当している。営業でとってきた仕事から営業経費を引いてもらうしくみ。売上によるが、現状は5~10%。今は仕事ごとに手数料(%)を決めている。単価の良い仕事をとってくるようにしたい。得意施設もあればそうではない施設もあるはず。課題である。
■仕事の分配はどのようにやっているのか?事務が大変ではないか?
⇒(本多)基本は仕事が入ったら全施設に情報を出して、システムに返信してもらう。仕事量が限られている場合は返信の早い順に振り分ける。納期が短い場合は近隣施設にお願いしたこともある。
これまでは施設の顔が見える関係だったし、事務局にまかせていただいていた部分が多かったので回すことができた。が、今後は取り決めていかなくてはいけないことが多い。公平性が保てるように。
■会員施設の障害種別はどうか?
⇒(本多)障害種別関係ない。施設によって得意な仕事がある。仕事内容が特殊な場合は得意そうな施設に声掛けすることもある。
■情報発信は必要
⇒(本多)C-netsはブログをはじめて施設間の関係が深まった。他施設の現状、職員の感じていることなど知ることでより動きやすくなる。
(笠井)ブログ更新は苦手でも、携帯メールはみんなやっている。携帯から簡単に更新できる仕組みになっている。
※広報誌を作ってネットで配信している施設や、職員さんが動いて情報発信している施設もある。施設は情報発信が苦手だという見解が多く、今後は自ら情報発信して連携につなげていく必要がある。
■飲み会について聞きたい
・月1回第4土曜日17:00~。自由参加。出欠はとらない。会費1500円1品持ち寄り。参加者は施設職員だけでなく、関係者、企業の方、誰でも・・。情報交換、仕事につながることも。
・開催の詳細はブログ見てね。
■利用者の親をもっと利用してはどうか?
(笠井さん)親の中には企業の社長もいるはず。仕事を持ってきてもらうことも可能ではないのか?
⇒(参加者より)親が病気であるとか、施設ごとに状況も違う。笠井さんのような考え親が増えればよいが・・
Bグループ
ファシリテーター 伊藤さん・本間さん
話題提供者 南さん(工房はたや)、石井さん(わかばの家)、原さん(あおぞらポコレーション)
■話題提供者のC-netsに加入したきっかけ
【南さん】
・障がいによってできる仕事が違うので、多様な仕事が欲しかった。
・大量受注が1施設にあったとき業者に断りをいれなくてはいけなかった。
・他施設とのネットワークづくりのため。
【石井さん】
・仕事が欲しかった。
・C-netsの参加団体からいい匂い(オーラ?)を感じた
・会議に使われる技法やアイディアの出し方など見て学びたいと思った。
・上記のことより「つながりたい!」と。
【原さん】
・業者からの仕事依頼があったのに、断らなくてはならないことがあった。
・人とのつながりが大切だと思った。
■参加者の今回セミナーに参加したきっかけ
・重度の人にも仕事をしてもらえるようにしたい。
・施設の授産製品の販路作りなどを手伝っている
・上越でもC-netsのような施設間連携をしていきたいと考えていた。
・1施設で完了してしまうのではないつながっている活動にしたい。
・若い人からパワーをもらいたい
・連携力をつけることが大切で戦略が必要(施設間格差がついてしまうのが心配)
・C-netsの「キラキラ」がうらやましい
・C-netsに加入したばかりなのでこれから!!
・工賃UP、ネットワーク作りについて現状を知り施設と情報交換したい
・よりどりみどりの仕事に魅力をかんじる、つながり力について学びたい
・自主製品をつくっていきたい
・受託が減少しているのでこれから営業をしようと考えている
・自主製品は好調だが作業がマンネリ化している
・受託作業が減少している
■共同受注について
利用者・職員・他施設との一体感がうまれる・・・〆切・緊張感・外部との関わり・他施設の仕事がみえる
=利用者自身が社会の決め事を実感・辛いこともあるが楽しくなる!→もっとやりたい・利用者から仕事増量の要望→職員も頑張らなきゃ!
====モチベーションUP!!======
・既存の仕事だけでなくネットワーク参加者みなで仕事をもってくる=営業!
・ネットワークの中でまた小さなネットワークができて、大きなワークシェアから小さなワークシェアまで対応可能になる
質問タイム(※注 質問は主にC-netsに対するものですが、答えの部分はC-netsも含む「ネットワーク」を活すための意見としてでているものもあります。)
■魅力あるC-netsに参加したいが施設にどう理解を得ればいいのか、またどのようにしてきたのか?
→仕事があるということは、利用者にメリットがあり、そのことは事業所にもメリットになる。
■多くの施設がネットワークに加入することによりまとまりが大変になるが、まとまっていくためのスキル・レベルUPはどのようにする?
→複数施設で同一商品を作るときは同レシピを使うなど情報のシェア(SELPの事例)
→勉強会の開催(考えや方向が同じくなるよう共通意識・言語・知識が必要)
→各々の施設レベルをUPするには、施設間でも同業(同商品)でのライバル競争が効果あり
→SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の分析)で各施設の特性を理解した上で弱い部分と強い部分を組み合わせることにより施設同士の連携をはかる=コーディネーターが重要。1+1=2以上!!連携力。
■C-netsでは事務局・コーディネーターは施設の職員が兼務でおこなっているが負担は?
→通常負担のネットワークではが大きくなりそうで不安でなかなか取り組めない。C-netsは明確な取り決めはこれからだが、やりがいがあることということでやっていく。C-netsではあおぞらさんから引継ぎわかばの家さんが行うことに。
→ワークシェアリングシステムやネット上の仮想会議室を使って情報を共有
→運営委員会が発足
■公平なお金の分配のためには?
→C-netsでは事務局・営業への配分が利益の5%だが、明確化の必要あり
→お互いの資源の共有化
→客観的なシステム〔仕組み〕を確立しておく(作り上げておかないと将来大変になる)
■どうやって営業力をつける?
→とにかく経験が必要。これからつけていく!
→公的機関(行政など)へ受託作業のアプローチをかける
→営業のプロから学ぶ(勉強会の開催)
→付加価値の高い仕事をしていくといい。共同で商品開発していくのもいい。
■Bグループまとめ
参加者の多くは、利用者の仕事を増やしたいという想いをもって参加していたが、セッションをすすめる中でネットワークは仕事を共同で得ることの他にも、情報共有やスキルレベルUP、施設・職員・利用者の意識がかわるものと分かった。また、すでにC-nets 加盟施設にとっては、今までの活動振り返りと気づき、今後の活動の課題が明確になった。とにかく、ネットワークはあるだけはだめ。コップ上向きのメンバーが活かして活かしてやっとネットワークの意味がある。
さいごに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
C-nets構成メンバーの年齢は20代30代が多く組織的に若いです。が、強みは、会員がこの活動の必要性をしっかり理解し、学んだことは共有し、実践していくという姿勢だと感じています。運営委員は立候補で決まりました。
今後活動を進める中でいろんな壁にぶつかるだろうし、ご迷惑おかけすることもたくさんあると思います。けれど、2年近く活動を続けてきて‘職員意識改革’‘利用者スキルアップ’‘情報交換’等々、すでに施設間連携によるメリットをは多く実感しています。ひとつひとつ向き合って、私たちの使命である「利用者の自立につながる支援」「高賃向上」を実践していきたいと考えています。会員のみなさん関係者のみなさん今後ともどうぞよろしくお願い致します!!(本多)