<知的障害児施設>入所児6割で自己負担 自立支援法に伴い
全国の知的障害児施設の入所児の6割以上が、公費負担で施設を利用できる措置制度の対象外とされていることが、「日本知的障害者福祉協会」(小板孫次会長)の調査で分かった。障害者自立支援法施行で、都道府県の審査で保護者に負担を求めることが可能になったためだが、負担を嫌う親が子どもを独断で退所させるケースも出ている。他の児童施設は措置制度だけで運用されており、障害児施設の子どもだけが不安定な状況に置かれている実態が浮かんだ。
児童施設は従来、すべてが措置制度の対象だった。06年10月の自立支援法の本格施行で、障害児施設だけが、措置か「契約」かを都道府県が審査して決める制度になった。契約と判定されれば、施設利用料の原則1割のほか、子どもの医療費や学校教材費も保護者負担となる。入所児や親への児童相談所のケアも義務でないとされ、対応が手薄になる。
調査は1月、全国255カ所の知的障害児施設に調査用紙を送付し、180施設(入所児計6789人、一部18歳以上も含む)から回答があった。
その結果、契約と判定された入所児は、65%に当たる4421人に達した。また、都道府県によって契約の割合が大きく違うことも判明。山形、愛媛両県が100%の一方、愛知県が1割台、岡山、静岡両県も2割台だった。
厚生労働省は、障害児の保護者が(1)不在(2)精神疾患等(3)虐待等--のいずれかに該当すれば、措置になるとの見解を示しているが、判断はあくまで都道府県任せだ。例えば契約率が高い東京都は「障害児は原則契約。措置は例外」としているのに対し、入所児が多い大都市圏の中でも契約率が低い千葉県は、3要件の順守を担保するため、具体的な独自基準を設けている。
同協会児童施設分科会の田中斎(ひとし)座長は「どんな子どもも家庭で暮らせない事情があるから施設に入所している。障害の有無で分けるのは障害児への差別」と批判している。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/social_rehabilitation/