障害者アート:障害=個性の生み出す芸術性に光を 県が支援に本腰 /埼玉
◇助成金などで人材育成
障害者の芸術文化活動(アート)を、作品そのものの独自性や芸術性から正当に評価する流れが世界的に広まっている。県も今年、障害者アートを新たな観点から評価、推進する方策を考える「県障害者芸術・文化懇話会」を設置し、障害者アートに特化した助成金の創設など、アートを通して障害者の自立や社会参加を促す事業に力を入れ始めた。【稲田佳代】
障害者アートはこれまで「障害を克服したこと」が評価の対象となりがちで、障害という「個性」から生まれた作品そのものの芸術性や文化性に目を向けられることが少なかった。各都道府県が持ち回りで年1回行う全国障害者芸術・文化祭も、福祉機器の販売やキャラクターショーが同時開催されるなど福祉イベントとしての色彩が濃いという。
8日に都内であった懇話会の初会合では、全盲のテノール歌手や障害者アートを進める市民団体、芸能プロダクション役員ら多彩な委員がそろい、「世界的な障害者アートのとらえられ方を県民にも共感してもらって議論を進めた方がいい」などの意見が出た。
県は今年度、障害者アートに対する認知度アップや、才能ある障害者を発掘、支援する環境整備を行い、障害者アートを扱う川越市の「あいアイ美術館」など県内団体とも連携して、09年度中に「県障害者芸術・文化祭(仮称)」を開催する予定だ。
また、学術・美術・音楽・舞台芸術・文学の各分野で一定以上のコンクールに入賞するなどした才能ある障害者に、上限50万円の活動資金を助成する「障害者人材育成資金」も創設した。将来性のある40歳未満(今年4月1日時点)の県内在住者が対象で、今月末まで募集している。
県によると、障害者の芸術活動に特化して助成する制度は全国初。県障害者社会参加推進室は「応募要件が高いため誰でももらえるわけではないが、素晴らしい活動をする方を県が全面的に応援したい」と応募を呼びかけている。問い合わせは同室(電話048・830・3311)。
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