この人に聞きたい:NPO「共生会」理事・犬飼三郎さん /愛知
名鉄津島駅前の天王通商店街に、障害者地域活動支援センター「ふれあいショップ ダンケ」という店がある。ボランティアと精神障害者の自立支援活動を続けている非営利組織(NPO)「共生会」(墨鉦平代表)が02年10月、障害者が集えて人とのかかわりを学びつつ、シャッター通りと化した商店街の活性化を狙ってオープンさせた。5年が過ぎ、共生会理事の犬飼三郎さん(60)に、これまでの活動と今後を聞いた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080211-00000062-mailo-l23
◇「心のバリアフリー感じて」--触れ合い通じ障害者の自立へ
――「ダンケ」を開くきっかけは。
約10年前、地域福祉施設支援ボランティアとして活動を続ける中で、一人のボランティアから、「家に引きこもっている子供がいる。どうしていいか分からない」と相談を受けた。親がボランティアをしていて子供が引きこもっているのはやりきれないとの思いがあった。「悩むのは自分一人ではない」という気持ちを持ってもらいたいと思った。
――なぜ商店街に開店したのですか。
商店街の灯が消えている。空き店舗に教育と福祉を取り入れて、活性化ができないかと思った。津島市中心市街地活性化事業推進協議会が手掛ける空き店舗活用事業の第1号に選ばれた。旧理容店を改装して02年10月、障害者の社会参加と自立を目指した通所リハビリ施設「ダンケ」が誕生したのです。
――ダンケの特徴は。
ダンケとは、ドイツ語で「ありがとう」の意味。この店では、「支援される障害者」と「支援するボランティア」という関係ではなく、人としてのかかわりの中で生きることを日々体験していきます。人との関係を学び養う場なんです。印刷やラベルづくりの仕事を請け負い、自立を手助けしており、現在、20代~40代の男女9人が通っています。体調が優れない時があるので、全員がそろうことは少ないです。障害者の家族会員や共生会の援助、市民からの年会費1口3600円の寄付で、何とか賄っています。昨年12月には、津島市内に支援センター「リーベ」を新設しました。軽作業が行える作業所です。
――どのような商品を扱っていますか。
一宮や愛西、津島市などにある授産施設で作られたぬいぐるみや手提げ袋、クッキーのほか、市民の人たちが趣味を生かして作った衣料やバッグを販売しています。喫茶コーナーもある。
――今後はどんな取り組みを。
小さくても施設をいくつか作って地域の障害者をサポートしていきたい。さらには、障害者の就労支援。地域社会の中で働いて生活できるモデル作りが目標。「ダンケ」で心のバリアフリーを感じてもらいたい。触れ合いを通して、障害者が少しずつ自立へ向かう。それを感じることで、私たちの心も豊かになります。