NPOが障害者自立支援 シイタケや野菜栽培(和歌山)
障害者の自立を支援しようと、田辺市内の2つのNPO法人が、障害者とシイタケや野菜の栽培をしている。障害者の生きがいや就労訓練になっているといい、両NPOは「少しでも障害者の支援につながり、この活動が広がってくれれば」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071013-00000002-agara-l30
田辺市稲成町の「絆(きずな)」(倉谷修治理事長)は10月から、障害者の雇用機会を広げようと、同市中芳養の施設を借り、シイタケ栽培事業をしている。
温室1棟(約330平方メートル)で、木くずを固めて中に菌を入れた長さ約20センチ、直径約10センチのほだ木、1万2000個を使って栽培を始めた。
作業する障害者は、みなべ町芝の知的障害者小規模作業所「すまいる」の12人。12月まで1カ月に4人ずつが研修に訪れる。主に収穫とパック詰め作業をし、普段の温度管理などはNPOのスタッフがする。
来年1月からは事業所としてスタートし、障害者を雇用する予定。ハウスも2棟に増やし、約2万4000個のほだ木で栽培する。
ボイラーの燃料は、重油ではなく、NPOが使用済み食用油を回収し、精製しているバイオディーゼル燃料(BDF)を使う。環境に優しい「エコ紀伊茸(きいたけ)」として売り出したいという。将来的にはインターネットでの通信販売や収穫したシイタケの加工販売も検討している。
絆はこれまでも、障害者と一緒に休耕田を利用してバイオ燃料の原料になるヒマワリやソバを栽培するなどしている。
倉谷理事長は「障害者にはこの作業を通じ、仕事への自信につなげてほしい。また多くの給料を出せるようになり、障害者の賃金の底上げにつながれば」と話している。
一方、同市下万呂の「歩(あゆみ)の会」(山中善晴理事長)は、昨年5月から、田辺市内や上富田町など7カ所、計約150アールで障害者とともに化学肥料や農薬を減らした野菜作りをしている。
上富田町岩田の知的障害者更生施設「南紀あけぼの園」の10人が、会員の指導を受けながら、週に1回のペースで農作業に汗を流している。
10月からは、10年間耕作放棄され、雑草が伸び放題になっていた同市秋津町の約20アールの畑で野菜作りを始めた。タマネギや白菜、ニンジン、ダイコン、水菜などの種をまいた。
同会はいまは障害者に労働研修の一つとして来てもらっているが、早く軌道に乗せ、利益を会に寄付したり、賃金を払ったりしたいという。
山中理事長は「障害者の負担が増えている。活動に賛同し、農業を教えてくれたり、農機具の寄付など多くの人に協力してほしい」と話している。