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2007年09月21日

<食物アレルギー>増える対象児童・生徒 困惑増す教育現場--学校給食の風景 /新潟

 ◇学校給食の風景…新潟の上所小

 県内に約4500人いると推計されている食物アレルギーを持つ児童・生徒。全国的に増加傾向にあり、県内の学校給食の現場でも個別のアレルギーに対応した給食「代替食」を作るなどの対応が進められているが、学校ごとに格差があり、保護者からは不安の声が上がっている。代替食を作るにはコストがかかるため市町村側も及び腰で、教育現場からは「これ以上増えると対応できない」という声も漏れる。新潟市の事例を中心に現状を追った。
<食物アレルギー>増える対象児童・生徒 困惑増す教育現場--学校給食の風景 /新潟-gooニュース

 新潟市中央区近江の上所小学校。この日の給食の献立は、くきわかめのサラダ、鶏肉のクリームソース、カレー味ごはんだ。食物アレルギーがある2年生、大関沙季ちゃん(8)は、栄養士がアレルゲンの油とこしょうを除いて作ったサラダと、母明子さん(43)が献立に似せて作ったお弁当を教務室に取りに行く。

 保護者からの要望が高まり、同小で栄養士が一部の簡単なメニューだけ個別に原因材料を抜くようになったのは5年以上前。万が一の事故に備えた独自のマニュアルも作った。明子さんは『先生が「できる限りがんばりましょう」と言ってくれてありがたい」といい、保護者の評判も上々だ。

 奥田大道教頭は「うちは給食室があるから、栄養士と相談すれば比較的対応しやすい」と話す。しかし不安もある。「今は対象児童が4人だからいいが、10人だったら対応できなくなる」

 文部科学省の調査によると04年度時点で、全国で約33万人(2・6%)の児童・生徒に食物アレルギーがあり、その数は増加しているという。同省は「代替食などの取り組みが進められることが望ましい」とするが、対応は市区町村に任されており、地域ごとに格差が出ているのが実情だ。

 県内でアレルギー専用に調理した給食「代替食」や「特別食」を用意しているのは、小学校で29・4%、中学校で22・2%だけ。上所小のように一部メニューに限り、除去対応する学校も少数派で、「不平等」との声が上がる。

 だが学校側もジレンマを抱える。奥田教頭も「代替食までは人手が足りず難しい」と話す。最大の障害は人件費だ。アレルギー専門調理室に専従職員1人を配置し、約20人の代替食を作る秋葉区の西部給食センターでさえ、職員の1人は「これ以上増えると人手も場所も対応できないので、あまり広報してほしくない」と本音を漏らす。

 一方、先進的な自治体では専従職員を置く動きが進んでいる。長野県松本市では、99年からアレルギー対応食専門の栄養士や調理員を配置し、すべての給食センターで代替食を導入。静岡市でも今秋から専従の職員4~5人で市内17校の代替食を作る予定という。

 新潟市保健給食課は「今のところ苦情はなく、市で統一して取り組む予定はないが、対象児童がどれだけいるのか実態調査を検討したい」と話す。

 これに対し親たちの声は切実だ。食物アレルギーの子供を持つ同市の親の会「わんぱくアトピッ子クラブ」(萩野三千代代表)は「学校や担当の先生の理解によって対応に差があり、親は個人レベルで交渉している状態。中には『特別扱いできない』と一切の対応を断わる学校もある。せめて対応できる最低ラインを市で決めてほしい」と訴えている。

投稿者 kasai : 2007年09月21日 07:34

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