秋の到来を告げるサンマの不漁がいわれる一方、イワシが大漁だという。スーパーや鮮魚店の価格にも反映され、イワシは値ごろのようだ。今後、サンマがふんだんに取れるようになるかどうか、専門家も「確証がない」という。それなら脂の乗りも良いイワシを存分に味わってみるのもよい。
◆前年のわずか2割
東京都中央卸売市場の築地市場の生サンマの卸値(1キロ)は中値で1386円(8月第4週)、前年同期の約4倍。一方、イワシは中値で399円(同)と、ここ数年で安い。
サンマ高騰の理由について、水産総合研究センター・東北区水産研究所八戸支所の上野康弘・資源生態研究室長は「資源量も小さいうえ、例年より東に分布し、遠く離れた。来遊に時間もかかるため、量が取れない」と話す。業種別組合「全国さんま棒受網(ぼううけあみ)漁業協同組合」(東京都港区)の時松靖之・総務部長によると、今年の生サンマの漁獲量は7277トン(8月28日時点)。前年同期の3万4435トンのわずか2割程度だ。
漁場が遠いと漁船の燃料代が通常よりかかる。さらに、十分な量を取らなくとも鮮度を保つため帰港しなければならない。ここ数日、漁場が近くなったというが、一時は漁場まで1日半かけて向かう漁船もあったという。
代わりに今年はイワシが豊漁だという。石巻魚市場(宮城県石巻市)によると、今年の石巻漁港での真イワシの漁獲量は2654トン(8月27日時点)で、昨年の年間漁獲量の11倍に上る。
東京都江東区のスーパーで24日、価格を調べてみると、生サンマが1尾298円。隣に陳列されていた真イワシは同じ価格で5尾入りだった。翌日の横浜市神奈川区の鮮魚店「濱の市」では、北海道・厚岸(あっけし)の生サンマは1尾380円。一方、宮城・石巻の真イワシは120円で、23センチほどの大ぶりだった。その前週は北海道・根室の生サンマは500円、千葉・銚子の真イワシは60円だったという。
◆さっぱり、とろり
「今年のイワシは身も太く、価格も手ごろ。サンマが高いから、客にもイワシを勧めている」と「濱の市」の増田修一店長は話す。
この時期のイワシは産卵後にふんだんにエサを食べ、脂が乗っているという。新鮮なイワシを選ぶコツは、(1)背中の青色が濃い(2)目玉が澄んでいる-などのものが良い。オススメの食べ方は刺し身で、「さっぱりしながらも、とろっとしていておいしい」(増田店長)という。
ただ、イワシを刺し身にするには、頭やはらわた、骨などを取り除かねばならない。鮮魚店でもやってもらうことができるが、サービスには差がある。
そこで、増田店長に包丁を使ったイワシの下処理のコツを教えてもらった。
図のような方法で、頭とはらわたを一度に身から取り除くことができ、後かたづけが楽。皮をはいだら、そぎ切りにし、ショウガ、ネギ、醤油(しょうゆ)を合わせて食べる。
■イワシ豊漁の原因は不明
長期的に資源量の低迷がいわれるイワシ。今年の豊漁の原因は何か。中央水産研究所資源動態研究室の本田聡研究員は「平成20、21年生まれの真イワシが何らかの理由で生き残り、資源量が増えていることは間違いない」と推測する。だが、水温などの成育環境を調べても説明できる理由は見つかっていないという。長期的な資源量回復の兆しかどうかも判断できないという。
一方、水産庁が今月発表した北西太平洋サンマの漁況予報では、推定資源量は221万トンで昨年の約6割だった。
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