18歳長男白血病で亡くし4年
息子が骨髄提供を受けた恩返しをしたい――。18歳の長男を白血病で亡くした加茂市五番町の主婦高野由美子さん(45)が、そんな思いから、移植を待つ患者のために、自ら骨髄提供の手術を受けた。「息子は助からなかったが、骨髄の提供者(ドナー)がいたからこそ、希望を持って頑張れた」と振り返る高野さん。「なくす命があれば、つながる命もある」として、ドナー登録の重要性を訴え、普及活動に取り組んでいる。(大藪剛史)
長男の敏行さんは高校3年生だった2004年夏、白血病と診断された。骨髄移植手術により一時回復の様相を見せたが、再発。05年6月に亡くなった。
しかし、高野さんはドナーへの感謝を忘れなかった。敏行さんの死後、夫の豊さん(49)と共に、骨髄バンクにドナー登録をした。提供手術は骨盤を傷つけるため、登録をためらう人も多いが、「提供者に恩返しをしたかったから、当たり前のように登録した」と話す。
今年5月、高野さんの白血球型(HLA型)が、移植を待つ関東在住の60歳代男性と適合したとの通知が届いた。数百分の一~数万分の一の確率。適合しないと移植後に拒絶反応が起きることがあるという。
高野さんは普段、貧血や軽い高血圧などを抱えているが、提供手術前の健康診断は不思議なぐらい順調に進んだという。「お母さん、やれよと、敏行に言われている気がした」と高野さん。豊さんも「頑張ってこいや」とただ一言、背中を押してくれた。
8月上旬、手術のために入院した新潟市内の病院は、くしくも敏行さんが入院していた病院。さらに、病室に通されて驚いた。まさに敏行さんが過ごした部屋で、ベッドまで同じだったからだ。
窓からは信濃川の流れが見える。「敏行はどんな思いで、景色を眺めていたのだろうか」。手術への怖さは無かった。与えられた使命だと感じた。
手術は全身麻酔で行い、2時間ほどかけて900ミリ・リットルの骨髄を採取した。術後、微熱が数日続いたが、痛みはなかった。
高野さんは、「術後当初は、恩返しできたという達成感が大きかったが、日がたつにつれ、貴重な経験をさせてもらったと、移植相手への感謝まで感じるようになった」と話す。
その後、男性の病状についての連絡はないが、高野さんは、「私と敏行の思いが詰まった骨髄。きっと元気になってもらえるはず」と信じている。
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骨髄移植推進財団によると、財団に登録して移植を待っている人は2679人(10月末現在)いる。ドナー登録者は全国で34万9707人、県内で9702人(同)。数字上は、移植希望者の9割強に適合者が見つかる計算だ。しかし、適合者に「体調不良」「家族の反対」などの理由があって実現しないことも多く、実際に提供に至るのは希望者の約6割にとどまる。
こうした状況を少しでも改善したいと、高野さんは他の白血病患者の遺族らと共に、「骨髄バンク命のアサガオにいがた」を設立。ドナー登録を呼びかけるため、自らの体験を講演するなどの活動を続けている。活動に協力するボランティアなどを募集中。問い合わせは高野さん(090・2447・5144)へ。
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