国内で「コンサータ錠」(一般名=塩酸メチルフェニデート徐放錠)に続き、小児期における「注意欠陥/多動性障害」(AD/HD)治療薬として4月に製造販売承認を受けた「ストラテラ」(一般名=アトモキセチン塩酸塩)。6月中にも日本イーライリリー(本社=神戸市)から販売が開始される。販売を前に、同社はこのほどメディア向け勉強会を開き、適正使用の推進を今年の第一目標とすることを強調した。
勉強会では、同社臨床開発医師の後藤太郎氏がアトモキセチンについて、▽NRI(選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)▽従来の薬と違うメカニズムにより、依存・乱用のリスクが極めて低い▽日中だけでなく、夜間・早朝にも効果が途切れない▽十分な効果を得るには6-8週間待つ必要がある▽世界数十か国、約700万例に対する経験で安全性・認容性が確立▽特に投与初期に、頭痛、消化器症状、傾眠が見られることがある-などと説明した。
特に、薬理作用の部分では、「抗うつ薬の『SNRI』と勘違いしている方がいる」と指摘。勘違いから「不適切な患者さんに使われるのではないのかということをすごく心配している。ぜひ正確にお願いします」とメディアへの注意を促した。
さらに、安全性リスクマネジメントの説明の中で、「自殺念慮」などについて、FDA(米食品医薬品局)の要請で行った自殺関連事象の併合解析の結果などを基に報告を行った。
アトモキセチンを投与した1357人と、プラセボ(偽薬)を投与した851人を対象に行ったプラセボ対照試験のデータを用いた併合解析の結果は、「自殺既遂」がいずれもゼロ。「自殺企図」はアトモキセチン群1例(0.07%)、プラセボ群はゼロで、アトモキセチン群とプラセボ群との間で統計学的有意差はなかった。一方、「自殺念慮」はアトモキセチン群5例(0.37%)、プラセボ群はゼロで、統計学的有意差が見られたという。
一方、海外での市販後データについての評価で後藤氏は、「アトモキセチンを飲んでいると、自殺念慮が増えるというような因果関係があるということは示されていない」とした。
ただ、「臨床試験という枠組みの中で解析したデータを見ると、確かに統計的な差がついた。これを見過ごすことはできない」として、製品に添付する医療従事者向けの文書の中に、▽AD/HDに関連する併存障害は、自殺念慮や自殺行動のリスクを高めるとの報告があること▽併合解析の結果、アトモキセチン投与群でプラセボ群と比べて自殺念慮が高かったとの報告があること―の2点を盛り込む予定だという。
マーケティングの担当者は「本年われわれが目的とすることは適正使用の推進。これ以外はやりません」と強調。「必ずAD/HDを正しく診断できる先生方がお使いください、とのメッセージを強めていきたい」と述べた。
http://news.goo.ne.jp/article/cabrain/life/cabrain-22488.html -gooニュース

