台頭著しいインドの、最大の商業都市ムンバイ(旧ボンベイ)を狙った大規模な同時多発テロである。邦人ビジネスマンにも犠牲者が出た。
26日夜に発生したテロでは、ホテルや鉄道駅、病院、レストランなど人が集まる公共施設ばかりが標的になった。
死者は100人を超え、負傷者も300人以上に上る。犯人グループは、自動小銃を乱射し、手りゅう弾で武装していたという。
高級ホテル「タージマハール」では、何度も爆発が起き、武装集団は、外国人の宿泊客らを人質に取って立てこもった。
死傷した日本人ビジネスマン2人は出張で現地を訪れ、別のホテルに投宿した直後に撃たれた。
インドでは最近、爆弾テロが相次いでいた。しかし、銃を乱射し、外国人も利用する高級ホテルに立てこもる例は珍しい。
ムンバイは世界の外資系企業も集まる経済の中枢都市だ。テロの影響を受け、地元の証券取引所が27日の株取引などを休場する事態に追い込まれた。
ムンバイには日系企業100社余りが事務所を構え、270人を超える邦人が住んでいる。
先月来日したシン首相は麻生首相との間で、日印の経済連携協定(EPA)の早期妥結に向け協力することで合意したばかりだ。日本は、ニューデリーとムンバイを結ぶ貨物専用鉄道の建設に円借款の供与も約束した。
テロが続けば、こうした日印間のプロジェクトや日本の投資活動に陰りが出ることが懸念される。躍進を続けるインド経済にとっても打撃となりかねない。
日本はじめ米国、英国などの政府や、国連の潘基文事務総長が、今回のテロを非難する声明を公表したが、当然のことだ。
犯行を名乗り出た「デカン・ムジャヒディン(聖戦士)」は、存在を知られていなかった組織であり、背後関係も不明だ。
過去には隣国からイスラム過激派が潜入し、テロを引き起こしている。9月にニューデリーで発生した連続爆破テロでは、インド国内のイスラム過激派グループが犯行声明を出した。今回の場合はこれとつながりがあるのか。
インドはパキスタンとともに南アジアの核保有国である。社会不安の拡大が最も懸念される。
インド当局には、拘束した容疑者の取り調べなどを通じ、組織実態や背後関係を徹底的に捜査してもらいたい。それには国際社会が協力することも重要だろう。
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