9月議会 一般質問 市民クラブの加藤尚登です。通告に従い農業問題と食育推進について質問をいたします。 今年の全農仮渡し金単価がコシヒカリで10000円と発表されました。昨年は15000円でしたから30%以上の大幅な下落です。他の集荷業者の単価形成にも大きく影響を与えるこの全農仮渡し金がここまで引き下げられた影響は、すべての米生産農家に及ぶものと思われます。またこの仮渡し金は確定米価ではないというものの第一回の追加払いが早くて年末頃と伺っており、さらに、品目横断的経営安定対策が発動されたとしてもその補填金の交付は来年7月まで待たなくてはなりません。多くの生産者は収穫後、地代の支払いや、借入金の償還など、資金需要のピークを迎えるため、その資金繰りに苦慮している状況であります。特に行政が育成を進めてきた大規模農家や生産組織ほどその影響は大きいわけであります。この情勢を受けて県市長会・町村会は昨日10日、全農県本部と県農協中央会に対し独自支援策を要請したとの報道が今朝の朝刊にありました 。そこでお伺いします。・ 低米価が続いていること、食の多様化による米消費減少によりその傾向は当面続くであろうことは周知のことですが、今回のように大幅な仮渡し金引き下げの背景について、市当局の認識をお伺いします。・ 単協での仮渡し金上乗せの動きも報道されていますが、本市管内4JAの対応を把握されていますか?・ 全農新潟は9月4日、仮渡し金対策緊急貸し付けを行うと発表しましたが、少なくとも追加払い、あるいは補填金交付までのつなぎ資金として、育成すべき経営体には借り入れの利子部分について公的助成を行うべきと考えますが、市としてどのような対応をお考えでしょうか?・ 今後とも低米価基調が続くと思われますがその見通し、そして市としての対応策をお考えでしょうか?次に品目横断的経営安定対策の加入状況及び本市の特徴についてお伺いします。本年度から導入された、品目横断的経営安定対策は、新たな担い手育成の基本的政策と考えます。また同対策の加入条件に面積要件があったため、急遽集落営農組織の立ち上げに取り組まざるを得ない地域があったと聞いています。・ 7月2日に受付が閉め切られた同対策の加入状況、具体的には認定農業者、集落営農組織の加入数、農地面積そしてそれぞれの市農地面積に対するシェアをお聞かせください。・ 本市の加入状況に特徴などがあるでしょうか。・ またこの際、本市の農業政策の方向について、見解をお伺いいたします。次に食育推進についてお伺いします。 国が食育基本法を平成17年7月15日に施行した背景には、朝食抜き、謝ったダイエット、外食依存などの「食生活の乱れ」による生活習慣病の増加や、食糧自給率の低下から輸入食品が増え、BSE、野菜の残留農薬問題など食の安全、安心が脅かされている状況があります。かつて「老人病」と呼ばれた糖尿病・高血圧・高脂血症などの慢性疾患は、食の多様化が進むにつれ働き盛りの人々に蔓延するようになり、「成人病」と名前が変わった過去を持ちます。さらに平成8年に「生活習慣病」と名前を変えなければならなかった背景には、子どもにまでそのリスクが忍び寄っていることの証です。文部科学省が2006年度に実施した学校保健統計調査では、ぜんそくの子どもがここ10年で2倍になるなど、アトピー性皮膚炎ほかのアレルギー性疾患全体が増加していることが判明しています。これらの状況を受けて県内ではいち早く三条市が18年3月に食育推進計画を策定し、続いて上越市では18年7月に、新潟市では本年4月に食育推進条例がそれぞれ施行されるなど、各地域で本格的な取り組みが始まっています。本市でもその総合的な推進について、いよいよ「食育推進会議」での議論が8月10日にスタートし、大いに注目しているところです。私は「食育」の目的は多岐にわたるものですが、もっとも大切なのは、食べ物が豊富に手にはいるという、かつて私たち日本人が有史以来一度も経験したことのない環境の中で「子供たちの健康を守ること」だと考えています。そして現場で直接子どもに接することができる地方自治体こそ食育推進の要であると思います。一方「食」に関わる人、部署は大変多く、「食育」を推進する上で分野横断的な推進体制をとる必要があると思われます。そこでお伺いします。 ・ 食育の推進にあたり、実効性のある計画策定と円滑な事業展開ができる庁内推進体制が不可欠だと思いますが、現在の状況と今後の見込みはどうか?・ 子供たちへの食育の推進にあたっては、食べ物との接点の拡大をはかる観点から、農業体験の充実や地元の生産者との交流が大切であると考えますが、小中学生の農業体験等の実施状況はどうか?・ また毎日行われる学校給食は生きた教材としていっそうの充実を図る必要があり、一大食料生産地たる長岡市の特性からも地場産農産物の利用拡大を期待しているところです。学校給食において一層の地場産農産物の利用拡大をはかるための体制づくりが必要と考えるがどうか?つづいて、米飯給食についてお伺いします。平成12年12月議会に於いて「子どもたちの健康を守るために学校給食のさらなる米飯化を求める請願」が、内科医、歯科医、小児科医の三名が請願者となって提出され、全会一致で可決されました。その内容は、子どもの健康を熟知し、心配をしている医療者としての良心にあふれたものでした。それを受けて翌年10月、アンケート調査が実施されましたが、米飯給食は月一回の増加にとどまり、平成16年1月から週3.25回となっています。食育基本法の理念からも給食は単においしい・楽しいという切り口だけでなく、より安全な食の選択・地元の米を中心とした食文化の継承・世界的な食糧事情やフードマイレージなどの観点から点検する必要があると考えます。すでに1977年(昭和52年)、医療費の増大に頭を悩ましたアメリカ上院栄養問題特別委員会が7年の歳月と数千万ドルの国費を費やして5000ページにも及ぶ報告書を作成しました。その結論は「医療費の増大の原因は現代の食にあり、まさに食源病と言うべきである」というものでした。そしてそこで報告された「理想食」は、まさに本来の日本人の食事でした。このことをきっかけに、欧米で日本食イコール健康といったイメージが広がっていくのであります。世界で認められている健康食「ごはん食」を日本の家庭にとりもどすために学校給食の果たす役割は大きいと考えます。すでに三条市は平成15年二学期から週5回になっており、新潟市も来年度から週4回、さらに平成21年度から週5回にするとの発表がされました。そこでお伺いします。・ 学校給食を通じ日本の主食「ごはん」をより定着させていくことが重要であり、米飯給食回数をさらに増やすべきと考えるがどうか?最後に子供たち(児童)の健康状態について伺います。再三申し上げているとおり、食育推進の最大の眼目は「子どもたちの健康」であると考えています。そこで・ 子どもたちの肥満度の推移と食育を通した子どもたちの健康管理をどのように考えているかお伺いします。 ながおかヘルシープラン21のアドバイザーである新潟医療福祉大学教授の村山伸子氏は、私の地元コミュニティセンター発行のたよりに投稿され、「人間の食は、生き物として生態系の中で営まれ、かつ人間社会の様々な関係の中で営まれると同時にそれらに影響しています。ごはんを食べるか、パンを食べるかは、食卓でのおかずに違いがあるだけではなく、嗜好の形成、栄養素、健康の方向性、おおげさに言うと日本の水田を守ること・・・にまでに関わることなのです。」と述べられました。農水省の試算ではパンを主食にしたときの自給率は14%、ごはんにすればそれが56%です。子どもたちの健康を守り、自給率を上げ、国民医療費を削減する方法が「食の改善」にあるのは明らかです。長岡市の勇気ある決断を期待して私の質問を終わります 。