平成20年12月定例会   一般質問「心の健康問題と自殺対策について」「不況対策について」市民クラブの加藤尚登です。通告に従いまして、「心の健康問題と自殺対策について」「不況対策について」本市の取組状況について質問させていただきます。さて、わが国の自殺者数は1998年から既に10年、年間3万人を超える状態が続く異常事態となっています。一日に80人以上、一時間に3.5人、私が質問しているこの時間に相当する約17分に一人の割合で自ら命を絶っておられるのです。交通事故死 約一万人の三倍もの死者を出し続けているこの現状はどう考えてもどんな福祉政策より優先させるべき重大な問題であると言えないでしょうか。これだけの数字ですから、皆さんの周辺でも自殺された方がおられるはずです。年賀欠礼のはがきが届く頃ですが、私の所にも先日、県外で働いていた友人の奥様からこのはがきが届き、驚いて事情を伺った所、自殺と聞いて言葉を失いました。昨年6月議会で市長は、我が市民クラブの酒井正春議員の自殺問題に対する質問に答え次の四つの視点を揚げられました。一つ目「民間と行政が連携をとった相談体制」二つ目「家庭・地域での見守り」三つ目「各年代や地域に応じて 心や健康の ケア対策、あるいは経済面での支援」そして、最後に「警察とか県とかいろんなところに責任が分散している状況」を危惧され、「市町村の中でトータルでものを考えていくこと、さらに子ども支援策を教育委員会に持っていったように、生きた政策にするには縦割りではなく、統合化する所に意味がある」と述べられております。私は、この市長があげられた視点について、全く同感であり、深く賛意を表します。そこで、おさらいになりますが、本市の自殺者の現状をまずお伺いした上で、この市長答弁に基づいて具体的にはどんな施策が検討されているのか、あるいは、実施されているのかお伺いします。一つ目の相談体制ですが、現在の心の相談窓口の設置状況とその実績をお聞きします。二つ目の「地域での見守り」については、私から提案をさせてもらいたいと思います。それは、「お茶のみの駅」の設置についてであります。私の地元、主に農業を営む地域では、雨が降って仕事ができない時などは、声を掛け合って盛んにお茶のみが行われております。また、老人会は月に一度お茶のみの会を開き、皆さんその日を楽しみにしておられます。ところが旧市街、街中ではそういう習慣があまりないと聞きます。気軽に集まってお茶をのみ、たわいもない世間話から、愚痴をこぼしたり、お互いに悩みを相談できるようになり、また近所にどのような人がいるのか見守りの体制ができてくると思います。同時に心の健康問題やコミュニティー再生、工夫次第では子育て対策・少子化対策 さらに、防災対策にも効果が期待できると思います。所見をお伺いします。三つ目の年代別の対策では、特に子どもたちへの教育を考えなくてはならないでしょう。誰もが子どもの頃一度は「死んでしまいたい」と思うことはあるでしょう。そして、相談するのはやはり、先生やおとなたちではなく友達の場合が一番多いはずです。そういう相談を受けた場合、その子どもたちはどういう態度をとるべきなのか教えておく必要はないでしょうか?現在、子どもたちへはどういうアプローチがなされているのでしょうか?四つ目の「政策の統合化」の点はいかがでしょうか?自殺防止に取り組むNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」や専門家らのチームは7月、自殺した305人の遺族からの聞き取り調査や警察庁のデータを分析した、初めての「自殺実態白書2008」を公表しました。それによりますと、自殺に追い込まれるまでに、平均四つの要因が複合して連鎖していることが明らかになりました。その要因は、うつ病の45%を筆頭に、家庭不和、負債、身体疾患、生活苦、職場の人間関係、職場環境の変化、失業、事業不振、過労の順です。そして、自殺者の62.4%が自殺前の1ヶ月以内に相談機関に訪れていることを突き止めました。自殺者の半数以上が相談機関に訪れるなど、何らかのサインを発しているのです。現在のように問題別にバラバラの部署で対応していては、このサインを見逃してしまっているという結果が出ているのです。精神科などの医療機関も含め、連携と、包括的な対応が必要となっています。市長の言われるように、統合化が必要です。縦割りを解消する専門員の配置と、関係機関で作る自殺対策協議会の設置が必要と考えますがいかがでしょうか。次に心の健康問題についてお伺いします。先ほど述べたように自殺の要因の第一位は「うつ病」でありますが、新潟市の教職員が繁忙感から心疾患を患い、休職するケースが増えていると 10月22日付の新潟日報が報じました。それによりますと、昨年一年間で一ヶ月以上休職した職員の44.9%が精神疾患だったというのです。そこで本市職員と、教職員の一ヶ月以上休職者の現状とそのうち精神疾患によると思われる割合をお聞きします。対策には、事前の教育・研修と、事後の相談体制、職場の環境整備などあろうかと思いますが、どのような対策を講じておられるのか、お聞きします。続いて「不況対策」についてであります。アメリカのサブプライムローンに端を発する 今回の大不況の中で年の瀬を迎え、資金繰りに窮する企業主さんも出てくると思われます。このたび「中小企業緊急経営対策資金融資」の創設など、中小企業制度融資を拡充し、中小企業者への支援を機動的に強化された当局の取り組みを高く評価致します。しかし一方、融資を重ねて、追い込まれてゆくケースも当然予想されます。深刻な状態になる前に、事業を清算し、再生を図ることも選択肢の一つです。やり直しのきく社会こそ安心できる社会ではないでしょうか?相談窓口などの体制はどうなっているのでしょうか?また、企業の中には、遊休資産を保有しているケースも多くあろうと思います。諸条件あるでしょうが、そういう資産を市、あるいは土地開発公社で買い上げてはもらえないかという声を聞いていますがいかがでしょうか?一定期間市が保有し、その企業が再生したら売り渡す。そうでなかったら競売するといった方法も考えられないでしょうか。さらに、個人に目を向けると、水害・地震で、家の建て替えなどのための復興資金を借り入れている方も多くおられるはずです。不況の中、減収、失業などで、返済の目途がたたなくなるケースもあろうかと思います。追い込まれた中で、個人で金融機関にでかけ、相談・交渉できる、精神的に強い方ばかりではないはずです。困りごと相談所のような、気軽に立ち寄れる窓口に、まず訪れてもらって、状況把握をして、対策を専門家と一緒に考える、あるいは、的確な相談窓口につなげる・・・そういう体制をとって、市民に啓発し、長岡地域みんなでこの不況を乗り切る気構えで臨めないでしょうか。この不況対策についての質問の底流にあるのも、自殺に追い込まれる方がでないで欲しいという願いです。自殺は個人の自由な選択によるものではなく、健康問題・家庭問題・経済問題など社会的に追い込まれた末の死であり、避けられる死です。社会的な要因が深く関わっている死は、社会的な対策をとれば防ぐことができるはずです。自殺対策基本法でも述べられているとおり、自殺は社会問題であり、自殺対策は、国や地方自治体の責務であります。関係者の密接な連携の下、効果的な施策が講じられますようお願いして、質問を終わります。