親子のスキンシップを楽しむベビーマッサージ。鳥取県内でも多くの教室が開かれ、子育て中の母親などから人気を集めている。大阪市で今年6月、マッ サージの施術後に乳児が死亡する事故があり、不安の声も聞かれるが、医師は「保護者が子どもの安全に配慮しながらゆったりと楽しんでほしい」とアドバイス している。
ベビーマッサージを楽しむ親子。絆を深める場所になっている=米子市内
米子市内で開かれている「ベビービクス」教室。赤ちゃんがマットの上に敷いたバスタオルに横 になり、インストラクターの指示を聞きながら母親が頭、顔、体、手足など全身を優しくなでる。気持ち良さそうな赤ちゃんを見て、母親も思わず笑みがこぼれ る。途中で寝てしまったり、ぐずったりすれば中断する。教室にはゆったりとした雰囲気がある。
参加していた母親(30)は「子どもにはいい刺激になっているみたい。自分のリフレッシュにもなっています」と笑顔を見せた。
絆を深める
産科医院が開くこの教室では、20年近く前から1歳ごろまでの赤ちゃん向けにベビーマッサージとベビーエクササイズを組み合わせたベビービクスを指導している。赤ちゃんに心地よい感覚を与えて運動を促し、親子の絆を深めるのが狙いだ。
毎回、教室の冒頭には「ミルクを飲んですぐは行わない」など注意事項が告げられ、おなかのマッサージでは「下痢の赤ちゃんはしないでください」、手足のマッサージでは「関節はひねらないで」と、その都度赤ちゃんの安全を気遣う声掛けが行われている。
インストラクターの瀬尾久美子さんは「今までに事故などは一度もないが、赤ちゃんに携わる責任は常に感じて行っている。スキンシップが一番の目的なので、無理はさせません」と話す。
瀬尾さんは日本マタニティフィットネス協会で実技と筆記試験を経てベビービクスの資格を取得。定期的に講習を受講するなど、積極的に知識や情報を取り入れている。
正しい知識
一方で、事故のニュースを見た子育て中の母親(32)は「何を基準に信じればいいのか分からない」と不安を口にする。
子育て長田こどもクリニック(米子市上後藤)の長田郁夫院長は、正しい知識を持って教室を選ぶことが大切だと指摘。「揺さぶられっこ症候群を誘発 する恐れのある急激な刺激や過度な刺激を与えたり、過大な効果を明言したりする場合はおかしいと思っていい。赤ちゃんの発達に適切なやり方が考えてあるか 見極めてほしい」と話している。
ベビーマッサージ 赤ちゃんを裸にし、オイルを付けるなどして行うマッサージ。肌と肌が触れ合うことで親子の絆が深まることや赤ちゃんの皮膚トラブルの発見、母親のストレス軽減などが期待される。国家資格はなく、民間団体が講座や試験を行ってインストラクターを養成している。
http://www.nnn.co.jp/news/140921/20140921005.html