目的
塗料、殺虫剤、ヘアスプレー、制汗消臭剤など、スプレー缶製品(エアゾール製品)は日常生活のさまざまなところで使われている商品です。
国民生活センターでは、平成18年11月に「スプレー缶製品の使用上の安全性」で情報提供を行いましたが、その後も破裂や爆発、引火、凍傷や凍結による事故などが引き続き発生しています。
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、「スプレー缶」(一部商品を除く)に関する危害・危険情報が2009年4月以降160件(2014年5月末までの登録分)寄せられています。このうち、「危害情報」は105件、「危険情報」は55件でした。また、医療機関ネットワークには、「スプレー缶」(一部商品を除く)に関する情報が2010年12月以降45件(2014年5月末までの伝送分)寄せられています。
そこで、前回のテストで行っていない新たなテストとして、コールドスプレー使用時の着衣着火事故と、穴開け時の中身の噴き出し事故に基づく再現テストを行い、あらためて消費者へ情報提供することとしました。
なお、今回は特定の銘柄に起因した事故ではありませんので、特定銘柄でのテストではなく、コールドスプレー、殺虫剤、ムース(化粧品)という商品群としてのテストを行いました。
主なテスト結果等
コールドスプレー使用時の着衣着火事故(テスト対象商品群:コールドスプレー)
- 火に向けて噴射すると引火して大きな炎が上がりました。
- スプレー噴射直後に火種が近づくと引火しました。
穴開け時の中身の噴き出し事故(テスト対象商品群:殺虫剤、ムース(化粧品))
スプレー缶に中身が残っている状態で穴開けを行うと、穴から中身が勢いよく噴き出しました。
廃棄方法に関する調査
廃棄方法は自治体ごとに決まっていました。
消費者へのアドバイス
購入・保管時
商品を使用する際に必要と思われる内容量(サイズ)のものを購入しましょう。また、自動車内や直射日光の当たる場所、加熱源の近くなど、高温になる場所には放置しないようにしましょう。
使用時
スプレー噴射中や噴射直後には火気を近づけないようにしましょう。
廃棄時
- スプレー缶の中身を使い切り、ガス抜きキャップで中身の残存ガスを完全に出し切ってから、各自治体の廃棄方法に従って廃棄しましょう。
- 廃棄方法に不安がある場合には、スプレー缶に表示されているメーカー連絡先に連絡して相談しましょう。
業界への要望
- 安全性のより高い商品開発をするとともに、破裂や爆発がより起こりにくい商品設計となるよう要望します。
- スプレー缶に関する情報が消費者に一層よく伝わるよう要望します。
行政への要望
消費者の事故防止の観点から、全国的にスプレー缶に穴を開けないで廃棄が可能になるよう、今後も引き続き自治体への周知・指導を行うとともに、自治体における取り組みを支援することを要望します。
要望先
- 環境省 大臣官房 廃棄物・リサイクル対策部 廃棄物対策課
- 一般社団法人日本エアゾール協会(エアゾール製品処理対策協議会事務局)
情報提供先
- 消費者庁 消費者安全課
- 内閣府 消費者委員会事務局
- 経済産業省 商務情報政策局 商務流通保安グループ 保安課 高圧ガス保安室
- 経済産業省 製造産業局 化学課
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140724_1.html