自民党の教育再生実行本部が、英語能力試験での一定以上の成績取得を大学入試の受験資格にすることなどを、安倍晋三首相に提言した。グローバル人材の育成に必要な英語教育の充実は大きな課題だが、実際の中・高校生や英語教員の実力はどうなのか。教育ジャーナリストの斎藤剛史氏に聞いた。
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自民党教育再生実行本部の提言には以下の要件が盛り込まれています。
●実用的な英語力を測る英語能力試験での一定以上の成績取得を大学入試の受験資格、及び大学卒業のための要件とすること
●高校卒業段階において英語能力試験で一定以上の成績を全員が達成すること
●英語能力試験での一定以上の成績を英語担当教員の採用条件とすること
文科省の検討会議でも、2011(平成23)年から2016(同28)年までの5年計画で示した英語力向上の提言で、実用的英語能力試験の積極的活用を求め、高校3年生段階で一定の英語力をつけることを目指しています。
両提言を総合すると、
●中学校卒業時点で生徒に求められる英語力は英検3級程度
●高校卒業時点では英検準2級または2級程度
●英語担当教員に求められる英語能力は英検準1級程度
となります。言い換えれば、これが今後求められる英語力というわけです。
では、現実の中・高校生や英語担当教員の実力はどうでしょうか。文科省の調査(2012<平成24>年12月現在)によれば、
●英検3級以上を取得する中3生:16.2%(同等の英語力があると思われる生徒を加えると31.2%)
●英検準2級以上を取得する高3生:10.6%(同等の力があると思われる生徒を加えると31.0%)
●英検準1級以上程度の英語能力試験の資格を持つ英語担当教員:中学校が27.7%、高校が52.3%
と、求められる水準にはほど遠いのが現実。提言の具現化には、まだまだハードルが高そうです。
http://news.goo.ne.jp/article/benesse/life/benesse-7889.html