全国で初めて盲導犬を連れて議員活動を始めた新潟県長岡市の藤田芳雄市議(62)が4月の市議選に立候補せず、3期限りで勇退する。議員活動を通じ、バリアフリーの考え方を浸透させたとして障害者団体の高い評価を受けている藤田さん。引退後は本職の鍼灸(しんきゅう)師に戻り、「しばらく休んでいたマラソンに再挑戦したい」という。
藤田さんは1999年4月、「障害者やお年寄りに優しい街をつくれば、だれにとっても暮らしやすい街になる」と訴え、合併前の市議選で3763票を集めてトップ当選した。前年秋に貸与された盲導犬オパール(雌、14歳)と「二人三脚」の選挙運動が話題を呼んだ。
3期目の途中で相棒の盲導犬はウリエル(雄、4歳)に代わったが、これまでに一般質問に24回立ち、常任委員長も3度経験。2004年の中越地震の際には、障害者の福祉避難所の設置を働きかけ、市役所には触地図や点字掲示板が設置された。
ただ、議会ごとに妻(59)らの手助けが必要で、「周囲の消耗は激しい」と昨年10月、引退を決意した。藤田さんは「障害者が議会に居続けた意義は十分にあった」と振り返り、今後も障害者の議会参加を期待している。
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