働く年齢になっても仕事や学校通学をしない「ニート」の若者を減らそうと、大阪府がユニークな取り組みを始めた。 合言葉は「対策は小学生から」。地域とかかわりながら、コミュニケーション能力と問題解決の力を養う試みだ。
「あいさつをしましょう」
「自転車を置いてはいけないところにおかないで」
昨年12月、大阪市天王寺区の市立聖和(せいわ)小学校の3年1、2組の児童たちが、こう書かれた段ボール製の看板を手に通行人らに声をかけた。 別の児童は、公園のごみ拾いをしたり、学校の花壇に花を植えたりした。 いずれも、町を良くしようと、自分たちで考えて実行したものだ。
児童らは1月24日、活動を人形劇で発表したり、新聞を作ったりして報告した。
これが、府が今年度始めたニート対策「まちときどきカエル」プロジェクト。 自分たちの町は自分で変えられるという意味を込めた。 対象は小学3~6年生で、すでに23校で実施されている。
小学生からのニート対策は大阪府が発案し、具体的な内容は「こども盆栽」(大阪市天王寺区)に委託した。元会社員で代表の松浦真(まこと)さん(29)が2007年に設立したNPOで、子どもらに働く楽しさを知ってもらうワークショップなどに取り組む。
総務省によると、ニートは全国で約60万人(10年現在)、大阪府内には5万人いるとされる。 厚生労働省の調査では、ニートの若者の約半数にひきこもり経験があり、約6割が「人に話すのが不得意」との傾向が見られた。
松浦さんは、子どものころから、コミュニケーションを通じて問題解決のプロセスを考えることが、「働く」ことへの意識向上につながるという。 「就職活動などの人生の岐路に立っても、どうしたら自分が社会に貢献できるか、そのためには何をするべきかが見えてくるはず」と話す。 府は新年度も続ける方針だ。(河原夏季)
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