有名人を次々と襲う突発性難聴。先月のシンガー・ソングライター、スガシカオ(46)の告白に続いて、歌手の大友康平(56)が発症していたことを告白。これまでも歌舞伎の中村勘三郎(57)、歌手の浜崎あゆみ(34)、藤あや子(51)、局アナ出身の平松邦夫・前大阪市長(63)ら悩まされている有名人は多い。誰もが起こりうる“現代病”なのだ。
「前日までは何事もなかったのに、朝の職場で受話器を取ったら音が全く聞こえない」
これが、突発性難聴の典型的な症状だという。しかも、原因は不明。芸能人の発症がよく報じられるため、「音」が関与していると思われがちだが、決してそういうわけではない。
日本耳鼻咽喉科学会専門医の赤坂山王クリニック(東京都千代田区)・梅田悦生院長が説明する。
「俗に言われる『ロック難聴』は、音の衝撃によって耳の奥の内耳が、ハンマーで殴られたように徐々に壊れます。ところが、突発性難聴は、ある日突然、内耳の機能が低下して聞こえなくなるのです。ロック難聴とは異なり、ウイルス感染説や血管が血栓で詰まる内耳循環障害説がありますが、突発性難聴の原因はわかっていません」
難聴だけでなく、スガシカオのように耳鳴りが続いたり、内耳の平衡感覚を司る三半規管(さんはんきかん)がダメージを受けていると、めまいも伴う。こうした症状が、年齢や性別を問わず、ある日突然襲ってくるのだ。
治療は容易ではない。大友は昨年、発症したときの様子を「手術はしたけれど、片方の耳の聴力は戻っていない。少し安静期間を取ったけれど、状況は変わらなかった」と自身のブログで吐露している。
ただし手術は、突発性難聴の一般的な治療法ではないという。
「治療の第一選択肢は、ステロイド剤の投与で、飲み薬や点滴があります。突発性難聴の患者さんは、ストレスを抱えていることも多いので、入院してゆっくり身体を休めながら点滴治療を行う方が、通院よりも治りやすいといえます。手術に関しては通常行われません。別の病気を合併していれば、話は別ですが…」(梅田院長)
発症直後から1カ月以内に治療を完了すると、およそ半数の人は聴力が戻る。しかし、「なんだか音が聴こえにくいな」と思ったまま放置していると、治療を受けても治りにくいというから要注意。現状では予防もできないそうだ。
「ストレスの関与が取り沙汰されていますが、ストレスは多くの病気への関与が指摘され、しかも、ストレスを発散したからと言って突発性難聴にならないとはいえない。むしろ、発症したときに見逃さず、早めに受診することを心掛けてください」と梅田院長はアドバイス。
スマートフォンなどで通話や音楽が、急に聴こえなくなったりしたら、とにかく医療機関へ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121113-00000007-ykf-ent