「今年の食」飲料初選出、健康志向メニューも コロナの影響再び
今年の食を象徴するキーワードが今月、食関連各社により選ばれ、外食は「アルコールテイスト飲料」、家で自炊する内食は「オートミールごはん」にそれぞれ決まった。新型コロナウイルス禍の〝巣ごもり〟需要を受け、「テイクアウトグルメ」「ホットプレートごはん」が選ばれた昨年に続き、今年もいまだその影響が食に表れた1年だった。
■よりお酒に近づく
この1年で最も話題を呼び、世相を反映した「今年の一皿」。食をテーマにさまざまな調査・研究を行う「ぐるなび総研」(東京都千代田区)が、平成26年から毎年発表しており、飲料が選出されたのは初めてだ。
これまで「アルコールテイスト飲料」は、お酒が苦手な人や、仕事中など飲めない場面の飲み物、というイメージが強かったが、新型コロナ感染拡大に伴う緊急事態宣言などで酒類の提供が制限される中、アルコールに代わって一気に拡大した。
ビール各社がアルコール度数1%未満の「微アルコール」の新商品を相次いで発売。ノンアルコール飲料も日本酒、ワインなど、味のバリエーションが広がり、見た目も華やかなノンアルカクテル「モクテル」は、レストランやバーの人気ドリンクになった。
ぐるなび総研は「アルコールテイスト飲料は飲食店にとって経営の〝救世主〟に。アルコールを好む人、好まない人のどちらにも新しい選択肢として加わり、今後、定着する可能性がある」と評価した。
製造方法が進化して、よりアルコールに近い味わいが楽しめるようになったのも支持された要因だ。
■米や小麦の代替に
料理レシピの検索・投稿サイトを運営するクックパッド(横浜市西区)は、「食トレンド大賞2021」に、「オートミールごはん」を選んだ。
オートミールは、オーツ麦(エン麦)を脱穀した後、調理しやすく加工したもの。欧米ではおかゆにするのが朝ごはんの定番だが、日本では今年、米や小麦粉の代替品として料理に活用する人が増えた。
コロナ禍による健康志向の高まりとともに、食物繊維やミネラルが豊富で、低糖質のオートミールが人気傾向に。同社によると、レシピ検索頻度はこの2年間で9・4倍に伸びたという。
今年はさらに関心が高まり、「ご飯」「チャーハン」「おにぎり」といったキーワードと組み合わせて検索される頻度が急増。リゾットやお好み焼き、オムライスなど、メニューのアレンジがますます広がった。
■よく食べた野菜は
今年、最も食べる機会が多かった野菜は-。タキイ種苗(京都市下京区)が実施した調査で、「タマネギ」が3年連続の1位となった。
「特に、東京や大阪などで緊急事態宣言期間中だった4~5月のゴールデンウイークは新タマネギの旬の時季と重なりました。自宅でサラダなどにして楽しむことが増え、そのおいしさに改めて気づいた人も多かったと思います」
同社広報担当の桐野直樹さんは、こう説明する。
2位がキャベツ。タマネギとキャベツは「値段が高くても買う野菜」でも同じ結果だった。
「いずれも保存が利き、汎用(はんよう)性が高い常備野菜。緊急事態宣言解除後も、買い物の回数を減らす習慣が根付いた今年は、特に人気が集まったのではないでしょうか」(榊聡美)