いつから始める?自分にはどの薬がベスト?副作用はある?薬があまり効かないがどうしたらよい?など、高血圧の薬に関するさまざまな疑問に答えていく。
1.高血圧の薬物療法
生活習慣の改善だけでは血圧が十分に改善されない場合には、薬物療法は非常に重要です。高血圧の高齢者が薬を服用している場合、服用していない場合に比べて脳卒中による死亡率が36%、心筋梗塞や狭心症による死亡率は25%、全体の死亡率も12%減ったという調査があります。薬を“頼もしい味方”と考えてうまく付き合っていくことが大切です。まずは生活習慣の改善を3か月続けることが基本ですが、初めから血圧がかなり高かったり、心臓や腎臓に異常があるなどリスクが高い場合は、最初から薬物療法が行われることもあります。
2.自分に合った薬のタイプ
高血圧の原因はさまざまですが、血管の収縮と血液量の過剰に大別できます。血管の収縮を抑えるタイプの薬には「カルシウム拮抗[きっこう]薬」「ARB(アンジオテンシン 受容体拮抗薬)」「ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬」があります。血液量の増加を抑えるタイプの薬には、「利尿薬」「β[ベータ]遮断薬」があります。どの薬が選択されるかは、高血圧の原因や患者さんの状態などによって異なります。特に、高血圧のほかに、心不全、狭心症、慢性腎臓病、糖尿病などがある場合は、それによって薬の選択が異なります。
高血圧の薬で命にかかわる副作用が起こることはほとんどありませんが、薬の種類によりさまざまな副作用があります。また、まれに血圧が下がり過ぎてしまうことがあります。薬が変わった後に急に体調が悪くなった場合や、服用後に体のだるさ、めまいなどが起こった場合は、担当医に相談しましょう。
3.十分な効果が得られないときは
薬を服用していても血圧が十分に下がらない場合は、その要因を確認します。薬物療法を行っていても、生活習慣の改善は続ける必要があります。まずはそれらが適切にできているかを確認します。また、薬をのみ忘れたり、服薬のタイミングが合っていない場合は薬の効果を得にくくなります。服薬のタイミングを変更したい場合は、担当医に相談して適切な服薬時間に変更することが大切です。そのほか、高血圧を起こす特定の病気が原因で血圧が下がらない場合もあります。医学的には二次性高血圧といい、「原発性アルドステロン症」「睡眠時無呼吸症候群」「腎動脈狭窄症・腎不全」などの病気が原因となります。
NHK「きょうの健康」2013年5月9日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140529-h-001.html