最近、インフルエンザワクチンの効果が以前より低下しているが、予防の基本はやはりワクチン接種。高齢者施設などでは抗インフルエンザ薬を予防的に使うことも有効だ。
1.インフルエンザの症状
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することで起こる病気で、多くの場合、12月ごろに流行が始まり、翌年の1~3月ごろに最も流行します。かぜと混同されることがよくありますが、異なる病気です。一般に、かぜは軽症のことが多く、微熱か38℃前後の中等度の発熱があり、のどの痛み、鼻汁、せきなどが現れます。インフルエンザでは、発熱、関節痛・筋肉痛・倦怠[けんたい]感、頭痛などの全身症状が現れ、重症化して命に関わることもあります。特に高齢者は肺炎を併発して重症化しやすく、予防が大切です。
2.インフルエンザワクチン
インフルエンザを予防するためには、インフルエンザウイルスに対する抗体を作るインフルエンザワクチンの接種を受けるようにします。ワクチンは、人の間ではやっているA型2種類(H1N1、A香港型)とB型の3種類から、その年に流行しそうなウイルスをそれぞれ選んで、孵化鶏卵(発育中の卵)の中でウイルスを増殖させてから取り出し、不活化させて作られます。2012年は流行に合ったウイルスを選んだにも関わらず、ワクチンの効果が低かったといわれていますが、これは、インフルエンザウイルスが鶏卵の中で増殖する間に変異していることも原因の一つではないかと考えられています。この問題を解決するため、鶏卵を使わない新しいワクチンの製造方法も開発されていて、近い将来そちらに移行できるよう準備されています。
ワクチンには、接種した本人がインフルエンザにかかりにくくなる直接効果のほかに、多くの健康な成人が接種を受ければ、感染が拡大する危険性が低下する間接効果があります。高齢者や持病のある人などのように、インフルエンザにかかりやすく、感染後重症化するリスクの高い人を守るためにも、周囲の健康な成人がワクチンの接種を受けることが勧められます。ただし、卵アレルギーのある人(まったく食べられない人)は接種を受けられません。発熱があるなど体調が悪いときも避けましょう。
3.日常生活でできること
インフルエンザウイルスは、感染者のせきやくしゃみによって飛び散った飛沫[ひまつ]を吸いこんでしまうことで感染します。ウイルスが付着したものに触れた手で鼻や口に触れることも感染原因となります。そのため、インフルエンザの予防には手洗いとマスクの着用が有効です。うがいをする、人混みを避ける、室内の加湿や換気を心がけるなども有効です。
4.インフルエンザに感染したら
インフルエンザが疑われる場合には、診察に加えて迅速診断検査キットによる検査を行います。インフルエンザと診断された場合は、抗インフルエンザ薬を使用し、できるだけ発熱後48時間以内に治療を開始しましょう。抗インフルエンザウイルス薬には、内服薬のオセルタミビル(タミフル®)、吸入薬のザナミビル(リレンザ®)・ラニナミビル(イナビル®)、点滴静注薬のペラミビル(ラピアクタ®)の4種類があります。
5.抗インフルエンザ薬の予防内服・吸入
抗インフルエンザ薬は予防的に用いても効果があることがわかり、高齢者施設などでインフルエンザの感染者が出た場合には、周囲の人が予防投与を行って感染拡大を防ぐことも大切です。
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20131120-h-001.html