だんだんと肌寒くなり、すっかり秋らしくなってきましたね。秋といえば、食欲の秋。実りの秋ですよね。その中でも、この記事では“柿の皮”について触れていきたいと思います。柿は、健康・美容に気を使う人にとっては、とっても嬉しい食材だということをご存じだったでしょうか?
柿の栄養をまるごと味わいつくす
秋に旬をむかえる食材である「柿」は、果実だけでなく葉、ヘタ、皮にいたるまで全てを味わいつくすことができるのを、みなさんご存知でしたか?
その栄養価の高さから、食べるだけでなく様々な用途として使われています。ここでは、そんな柿の魅力をたっぷりとご紹介したいと思います。
まず、柿の栄養で忘れてはいけないのはビタミンCです。一日のビタミンCの必要量を、柿ひとつ食べればまかなえるというのですから美容・健康に気をつかう方にとっては嬉しい食材ですね。
他にも、柿のオレンジ色の色素成分であるβ-カロテンやβ-クリプトキサンチンには、抗酸化作用や骨粗鬆症、がん、糖尿病などの生活習慣病予防、免疫力のアップなどが注目されています。
また、柿の渋み成分となるシブオールというタンニンには、血圧の上昇を抑えたり、アルコールデヒドロゲナーゼという酵素と共に、アルコールを分解する働きなどがあります。
ご存知の通り、柿には甘柿と渋柿がありますが、小さいうちはいずれも口の中で渋みが溶ける可溶性タンニンを含んでいます。しかし成長過程において甘柿のタンニンは不溶性へと変化するため渋みを感じなくなるそうです。ちなみに最近ではアルコールや炭酸ガスを用いてタンニンを不溶性へと変えているものもあります。
柿は果実だけでなく葉やヘタにも様々な効果が期待できます。
特に柿の葉は、たくさんのビタミンCが含まれており、若葉をてんぷらや胡麻和えにしたり、和歌山や奈良では柿の葉の殺菌作用を活かして、お寿司を葉っぱで巻いた押し寿司が郷土料理として有名です。また、煎じて飲めば立派な健康茶になりますので、機会があればぜひお試し下さい。
ヘタも漢方では柿帝(してい)と呼ばれ、煎じたものを飲めばしゃっくりに効いたり、気のめぐりをよくして体調を整えてくれるとされています。
柿の皮は砂糖の代わりに
昔から、柿の甘みが砂糖の代わりに使われてきたと言われています。なかでも、干し柿を作る際、乾燥させると白い粉のようなものが出てきますよね、これは果肉から糖液がしみ出して乾いた果糖やブドウ糖なのですが、これを「柿霜」と呼び、かき集めて使われていたそうです。なんでも、千利休はお茶菓子に使っていたとか。
甘みとして重宝されていた柿ですが、普段捨ててしまっている皮の部分もお砂糖代わりに使えるというのですから、是非試してみたいものです。
作り方は剥いた皮を天日で乾燥させ、ミルミキサーなどで細かく砕くだけです。
自然の優しい味わいになり、ヨーグルトなどのトッピングや煮物の甘みとしてもお使いいただけます。また、漬け物をつくる時にも柿の皮を一緒に入れることで味に深みが出るそうです。お土産として売っている地域もありますので、機会があれば召し上がってみてはいかがでしょうか。
管理栄養士・日本抗加齢医学会認定指導士 篠原絵里佳
理栄養士をはじめとして、日本抗加齢医学会認定指導士、ベジフルビューティーアドバイザー、野菜ソムリエ、睡眠改善インストラクターなど、「医×美×食」の分野で幅広く活躍。“体の中から健康に美しく”歳を重ねるための「食」を、様々な角度から発信することを得意とする。