【外信コラム】赤の広場で
ロシアでは大みそか最後の数分間、主要テレビ局が大統領による新年祝賀の談話を放映する。私自身、これを見て1年を終えるのが慣例になっていたのだが、昨年末は初めてこれを破ることになってしまった。
というのも、12月31日の午後7時頃には、動画サイト「ユーチューブ」にプーチン大統領の録画メッセージが“流出”していたからだ。広大なロシアには東西で9つもの時間帯があるため、モスクワより早く新年を迎えた極東の住民がテレビ映像を録画し、サイトに投稿したのだろう。
大みそかの国民向け談話は旧ソ連末期のゴルバチョフ書記長以来、ほぼ現在のような形で続けられている。中でも歴史に残るのは、何と言っても1000年代最後の1999年末に違いない。
この日は、当時のエリツィン大統領がテレビ演説で電撃辞任を発表し、さらに大統領代行に任命されたプーチン首相が新年祝賀の談話に現れた。「私も親類や友人とエリツィン氏の言葉を聞くつもりだったのだが、そうならなかった」。プーチン氏はこう切り出し、若さと力強さを鮮烈に印象づけたのだった。
急速に移り変わる時代の中で、プーチン氏はいつまで大統領をやるのか。そんな疑問とともに、ネットでの大統領談話に一抹の味気なさも感じたのだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130103-00000552-san-int