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「フライドポテトで死亡リスクが上がる」の本当の理由

フライドポテトを週2回以上食べると寿命が縮まる?

「フライドポテトを食べると寿命が縮まる」というニュースが世間を賑わせています。フライドポテトを週2回以上食べると死亡リスクが食べない人の2倍になるというのです。その論文がさまざまな報道にのって拡散されています。

さっそく、報道の元になった論文「Fried potato consumption is associated with elevated mortality(英語)」を読んでみましょう。実際にここに書かれていることは、大きく以下の4つでした。

  1. 最もじゃがいもを食べている人たちと最も食べていない人たちを比較すると死亡リスクに差はなかった
  2. 週2~3回、フライドポテトを食べている人たちと、週3回以上フライドポテトを食べている人たちについては死亡リスクが上がった
  3. 揚げていないじゃがいもを食べても死亡リスクに影響はなかった
  4. この研究ではフライドポテトを多く食べる人は死亡リスクが高かったが、もっと大人数での研究をする必要がある

より簡潔に一言でまとめると、「この研究の参加者ではフライドポテトを週2回以上食べる人は死亡リスクが上がったけれども、何が原因なのか分からない」というのが実際のところでしょうか。

死亡リスク増の原因はトランス脂肪酸? アクリルアミド?

論文では、フライドポテトを食べる頻度と死亡リスクの上昇についての理由については言及せず、もっと大人数での研究をする必要がある、とまとめています。しかし、さまざまな報道の中には、トランス脂肪酸やアクリルアミドの摂取が原因ではないかと推測しているものもあるようです。

まず、トランス脂肪酸に関しての推測ですが、日本で生活している日本人に「トランス脂肪酸の摂りすぎ」がそのまま当てはまるかというと、必ずしもそうとは限りません。

トランス脂肪酸、日本人の多くは意識する必要がない?」でも詳しく解説しましたが、もともと日本人の大多数のトランス脂肪酸の摂取量はWHO の勧告(目標)基準である摂取エネルギーの1%以内に収まっており一般的な日本人の食生活を送っている限り問題はありません。さらに、農林水産省の取り組みに応じて、製パン業者マーガリンの業者など関係各社も企業努力によってトランス脂肪酸の含有量を下げています。

アクリルアミドはじゃがいもや野菜などを高温で加熱した際に生じ、食べ過ぎるとガンのリスクを上げると言われています。厚生労働省の「加工食品中アクリルアミドに関するQ&A」では、人に対する明らかな評価はないものの、動物実験で明らかな発ガン性を認めていることから、2A (人に対しておそらく発がん性がある)に分類しています。しかし、加熱した野菜などにアクリルアミドが含まれていることを懸念して食べないようにすることで、栄養バランスが崩れるよりも、気にせず何でも食べて栄養のバランスのよい食事を摂るほうが有益としています。

また農林水産省の呼びかけ等に応じて各企業における食品中の濃度を低減する取り組みもなされています。

このように、トランス脂肪酸もアクリルアミドも、日本国内で平均的な食生活をしている限り、さほど大きな問題はなさそうです。ただし、日本で生活する日本人で「フライドポテト」を食べる頻度が高く、問題になる場合もあるように感じます。それはどういったときでしょうか?

フライドポテトの成分より、栄養バランスに問題!

では、日本で「フライドポテト」はどんなときに多く食べられているでしょうか? おそらく自宅で日常的にフライドポテトを食べることは少なく、外食で食べることの方が多いのではないかと思います。その中でも特にフライドポテトがよく出てくるのは、ファミリーレストラン、居酒屋、ファストフード店といったところではないかと思います。いずれも味付けが濃いめの食品が多く提供される傾向があるため、食塩の摂りすぎが懸念されます。それでなくても日本食は醤油・みそを使用するため、食塩摂取量は多くなりがちです。自宅で減塩のために努力をしても、外食で食塩を摂りすぎてしまっては意味がありません。

また、フライドポテトの材料はじゃがいもと揚げ油、味付けの食塩、ケチャップ、マスタード程度でしょう。エネルギーはあるものの必要な栄養素が著しく欠けています。そしてフライドポテトに合い、よく一緒に食べられる料理は、ハンバーガー、ピザ、ビールなどで、こちらもバランスのよい栄養がそろったメニューとは言いづらいところがあります。月に1~2回程度、付き合い等でこれらの店に行ってフライドポテトを食べる程度であれば特に大きな問題ではありませんが、これらを好んで日常的に多く食べている人は、エネルギー過多、新型栄養失調になりやすいといわざるを得ません。

仕事の合間の昼休みなど、会社の近くにファストフード店しかない、ファミリーレストランしかないという場合もあると思いますが、こういった店舗でも商品を組み合わせることによって栄養バランスのとれたメニューを作ることはできます。

復習になりますが、バランスのよい食事とは主食(ご飯、パン、麺)、主菜(肉、魚、卵、豆腐)、副菜(野菜)がきちんとそろった食事を言います。

例えば、ファストフード店でバランスのよい食事を摂ろうと思ったら、ハンバーガー(バンズ、ハンバーグ)に主食と主菜の要素がありますが、副菜の野菜がほとんど入っていません。そのため、サイドメニューからフライドポテトではなくサラダをチョイス。これで、主食、主菜、副菜がそろったバランスのよいメニューとなります。管理栄養士として考えると、笑顔のかわいい店員さんに「一緒にポテトはいかがですか? 」と聞かれても、決して「お願いします」と答えてはいけません。心を鬼にして「食べきれません」と答えてください。

最初はせっかくのオススメに「ポテトはいりません」と言うのに勇気がいるかもしれませんが、最近は若干の差額を出すことでセットメニューのフライドポテトをサラダなどに変更できるチェーンもあるようです。若干の差額で健康が買えるのですから、こんなにありがたいことはありません。

フライドポテトはおいしいですが、栄養バランスをとりづらい料理であることは間違いないようです。友人たちとの飲み会の席等で、ときどき食べるのを楽しみにする程度がよいように思います。

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