「ビットコイン」「リップル」などインターネット上の仮想通貨の個人口座が何者かに不正アクセスされ、別の口座に送金される事件が今年1~7月に33件あり、約7650万円の被害が出ていたことが警察庁の調べで分かった。仮想通貨の不正送金が5月以降に多発したことを受け、警察庁が初めて被害状況を集計した。
警察庁によると被害は、2月1件▽5月8件▽6月14件▽7月10件。6月までの仮想通貨ごとの被害状況をみると、リップルが2960万円で最も多く、ビットコイン2929万円▽イーサリアム20万円▽ネム10万円--などと続いた。
仮想通貨の口座にログインするにはパスワードなどの認証が必要だが、何らかの方法で不正にログインされ、口座内の仮想通貨が勝手に別の口座に移されていた。海外などで現金化された可能性があるという。
上半期(1~6月)に被害に遭った23件のうち20件で、不正防止に有効な2段階認証を利用していなかった。
また、警察庁によると、今年5月に世界各地で発生した身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」の感染被害は、国内では36件あった。いずれもパソコンなどのデータが暗号化され、暗号を解除する代わりに仮想通貨などを要求されたが、身代金を払ったケースはなかったという。
不正アクセス対策について、仮想通貨の取引所などが加盟する「日本ブロックチェーン協会」(東京都港区)の樋田桂一事務局長は「ウイルス対策はもちろんのこと、IDとパスワードだけでなく、更にセキュリティーを高める手段である2段階認証の活用が不可欠」と強調。取引所に対しても、「ユーザーがパスワードを何度か間違えたら一時的にログインできなくしたり、取引所がハッキングされた場合に備えて、パスワードの暗号化などを進めたりすることで利用者が安心できる環境を整える必要がある」と対策を求めている。【川上晃弘】
【ことば】仮想通貨
インターネット上の「お金」として流通し、送金や決済に利用される電子データ。通常の通貨は国が発行しているが、仮想通貨は発行主体がない。銀行の巨大なシステムを介さず、インターネット経由で取引されるため、国境を超えた取引が容易だ。短時間で取引が完了し、手数料もほとんどかからないなどの利点があり、急速に普及している。
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